知っている人には「いまさら」の常識なのだろうが、イランのアサド政権への武器輸出が赤旗で報道された。

これは国連安保理の専門家パネルが年次報告(28日発表)の中で明らかにしたもの。

①トルコ当局は昨年3月、イランからシリアに向かう貨物機からカラシニコフ60丁、機関銃14丁、砲弾箱19個を押収した。
②トルコ当局は昨年2月、シリア国境でイランから来たトラックを検問。中から火薬890キロと、高性能爆薬1700キロなどを発見した。

専門家パネルはイランの違法な武器転移を非難している。

というもの。政治・外交との文脈で読めば、いかにもありそうな話だ。

ちょっと腑に落ちないのは、1年半も前の話だということ。シリア軍が市民の大量虐殺に踏み切る以前の話である。しかもその量たるや、軍事援助というにはあまりにも微々たるものだ。

ここ数ヶ月を見れば、トルコ国境から続々と武器が運び入れられており、その指揮を執るのがCIAであることは半ば公然の秘密となっている。うがった見方をすれば、これを相殺するための情報操作ともとれる。

トルコ機撃墜事件もそうだ。忘れてならないのは、トルコはイスラムの一角という振りをしているが、本質的にはNATOの一員であり、アメリカの同盟国であるということだ。

①半世紀にわたるロシアの地中海進出の拠点
②イランのイスラエルへの軍事圧力の拠点
としてのシリアは、かつてのブッシュ政権にとってはイラクの次の攻撃目標だった。「民主」の大義の下にこれをつぶす事ができれば、アメリカにとって望外の得点だろう。

逆に、アサドに対して生殺与奪の力を握りながら、情報収集能力の絶望的な欠如から、なんら成すことなく、ことここに至ったロシア外交の権威は、完膚なきまでに地に墜ちた。

元はと言えばアサドの側に非があるにせよ、反アサド軍万歳ともならない。
もはや行き着くべきところに行くしかないという気もする。