本日の朝刊を見て驚いた。

各紙とも、消費税などどこ吹く風だ。小沢派の造反が大々的に取り上げられるが、なぜ造反したのかの方がはるかに重要ではないか。第一、もし民主党が割れなかったら、ただの茶番劇ではないか。

そもそも消費税引き上げの採決は号外を発行してもよいくらいの重大ニュースだ。これがきっかけとなって日本経済が奈落の底に突き落とされるかもしれない危険を秘めている。

世論調査で国民の過半数が反対している法案を、消費税引き上げ反対の公約を掲げて政権を握った政党が強行するということも、世論を代弁するメディアとしては大変深刻な問題だ。一体改革といったのが、消費税だけ引き上げというのでは大義名分もない。
経済、さらには財政に与えるマイナス効果も分析されていない。

私が編集長なら、トップ見出しは「消費税引き上げが採決される」だろうし、中見出しは「民主と自民・公明の賛成で」となる。その上で小見出しには「民主の一部が造反」という構成だ。これが普通の常識というものだろう。さらに解説に「消費税引き上げでどうなる、日本経済」とつけ加えることになる。

それでは新聞各紙の見出しはどうなっているだろうか。

朝日 トップ見出し「消費増税法案、衆院を通過 民主、事実上の分裂状態」 サブ見出し「民主は反対57人、棄権・欠席16人」

毎日 「消費増税法案:民主57人反対」 サブ見出し「事実上の分裂状態に」

読売 「法案反対57、欠席・棄権16」 サブ見出し「民主は分裂状態」

なお読売は、その後の報道で、「《大義ない》造反議員に地元県連が悲鳴」と小沢バッシングを開始している。読売の大義は国民に対する大義とは別物のようだ。

日経 「経済界、消費増税を歓迎 財政不安の払拭に期待 サブ見出しは購買意欲減退に警戒も」

日経は企業側のサイドだが、ニュースの見方はまともだ。ややほっとする。

東京 トップ見出し
「消費増税 衆院可決」 サブ見出し「政権交代が終わった日」

東京新聞は準全国紙として、唯一まともな記事を書いている。若干紹介しておく。

二〇〇九年の夏が、はるか昔に感じられる。一二年六月二十六日は、政権交代が終わった日だ。国民の圧倒的な期待を受けて政権を獲得した民主党はこの日、事実上の分裂状態に陥った。民主党に寄せられた約三千万人の民意を分断させてしまった罪は大きい。
民意と無関係なところで政治が動いている。正すのは、私たちの一票しかない。そのためにも、(6月26日)日のことを記憶にとどめておく必要がある。

日刊ゲンダイ 「増税法衆院通過 反対57 棄権欠席19」

威勢の良さが売りの日刊ゲンダイだが、見出しからは消費税への怒りは感じられない。

「国民生活をどん底に突き落とす消費増税問題が、議員の頭数と造反ショーだけに矮小化されるのは間違いだし、そこに財務省と大マスコミの悪辣さが表れている」

と指摘しつつ、「全くどうしようもない国だ」と覚めちゃっている。少々あきらめが早すぎませんか。権力の投げた変化球とも受け止められかねません。

産経は読まなくとも分かっているので省略。