ギリシャをめぐる日本の報道で明らかな誤りが一つある。
それは、緊縮政策の内容にある。
ユーロ圏諸国が、金融支援と引き換えに迫っているのは緊縮政策を続けるかどうかではない。
これまでの緊縮政策に、さらに厳しい歳出削減計画を新たに上乗せし、それを飲ませるのかどうかという問題なのだ。

新たな削減計画についてはすでにたびたび触れているので、ここでは繰り返さないが、その典型が医薬品費の国庫負担2千億円相当を減額することだ。

これではギリシャ国民は死んでしまう。「死んでも返してもらわなけりゃぁならねぇ」というのは強欲な借金取りのセリフだが、それはものの例えであって、まさか「死んでもらいましょう」ということにはならない。

やっと、ほかのユーロ圏諸国でも、「これはやばいぞ、これ以上やると死んでしまうぞ」という声が出されるようになった。ギリシャのほうも「さぁ殺せ。死んだら化けて出てやる」と開き直った。

さらに強欲な連中の中にも、これでギリシャが死んでしまうと、スペイン・イタリアも道連れになる。いったん手を引くしかないな、という声が上がりつつある。

これが現状だ。過去においてギリシャがどうだったのかという問題は、いまは議論の外だ。ギリシャバッシングをして済ましていられるご時勢ではない。