メキシコのロスカボスで開かれたG20の宣言がなかなか良い。
IMFや財務筋から出された声明よりは、さらに一歩踏み込んでいる。

最初の課題に「経済安定と景気回復」が位置づけられ、“強固で持続可能な均衡ある成長”がうたわれている。
いまや世の中、緊縮一辺倒ではないのだ。景気回復なしに税制再建なし、これが世界の潮流となっている。不景気先進国、日本も見習うべきだ。

欧州債務危機に関する宣言は、主語が「ユーロ圏のG20参加国」となっていることに注意が必要。そしてほかの諸国がユーロ圏諸国の対策を支持するという構文になっている。
“支持”された中身は、
1 経済・通貨統合の完成への努力
2 金融政策の統合に向けての検討。これは具体的には
a 銀行監督の強化
b 破綻処理の方法の統一
c 金融機関の自己資本の強化
d 預金保険の統合
があげられている。この内容には期待と、とくにドイツへの一定の圧力がこめられている。

ギリシャ問題では、ギリシャのユーロ圏残留、改革と持続可能性の追求、ユーロ圏と新政府とのさらなる連携、の3点を求めている。これは緊縮措置の緩和をふくむ「再交渉」を促したものと取れる。

為替問題では目立った提言はない。
資金移動の過度な変動と為替レートの無秩序な動きは、経済と金融の安定に悪影響を与える
との認識が再確認されたにとどまる。

全体として、ギリシャに端を発したユーロ危機問題で、成長重視の路線をはっきりと打ち出したことが最大の特徴といえるだろう。

ただし、ユーロ危機をもたらした最大の主役である国債投機資本への規制問題は、ほとんど言及されていない。
将来の危機を予防するため、合意された金融規制改革を速やかに完全実施する
とあるが、その改革案には直接触れられていない。

そもそも危機は将来ではなく、今ここにあるのである。