「2013年度 連合の重点政策」 [2012年6月1日掲載]に眼を通してみた。

野田首相の記事を書いていて、連合の政策が気になった。いくら経団連に擦り寄るにせよ、首相としての出身母体は連合系議員だから、連合の政策を基本的には反映しているものと見なくてはならない。

連合のホームページに行ったら、上記のような文章があった。とりあえずの感想としては、まだ労組としての尻尾を多少は引きずっているな、ということ。
しかしこの手の文章は後ろから読まなくてはならないと相場が決まっている。「何をやろうとしているか」がだいじだからだ。そして「なぜそういう結論が出てくるのか」というのを総論部分から拾っていくと、めくらまし的な文章から骨組みをつかみ出すことができる。
もうひとつは、私たち国民が持っている問題意識が、分野的にはどう違っているかということ。
これは何が書いてあるのかではなく、何が書いてないのかをチェックしていけば、見事にあぶりだされてくる。1月ほど前、大阪市で職員の思想調査が行われた。まことに民主主義の根幹にかかわる由々しき問題であったが、大阪市職労のホームページには思想調査の思の字も書かれていなかった。(全労連系の組合は真正面から取り組んでいた)

ということで、逐条的に紹介したい。

まずは一番最後のところ
3.重点運動課題
これは
「重点政策」の中で、労働組合への影響が特に大きく、政府・地方自治体への働きかけなど、連合本部・地方が一体となった幅広い運動展開を行うもの
なそうなので、まぁこれだけ読んどきゃいいという部分。

(1)被災者の生活基盤の整備、長期安定的に働ける雇用の創出・確保、災害廃棄物処理の迅速化、風評被害の防止策推進による消費拡大など震災からの復興・再生に向けた支援の強化。

まじりっけなしの全文である。原発のげの字もない。せいぜい風評被害という言葉があるくらいだ。どこの国の労組だろう。

(2)積極的雇用政策と積極的社会保障政策の連携、「公平・連帯・納得」の税制改革の実現など「社会保障・税の一体改革」の実現

分かりにくい前振りがいろいろついているが、結論としては「社会保障・税の一体改革」の推進が方針だということだ。「」がつけてあるのは一体改革一般ではなく、政府の打ち出した一体改革ということだろう。つまりは消費税推進ということだ。
ほかに方針には消費税・法人税・金持ち減税に関する記載はないから、そう読むしかない。

(3)若年者の雇用対策の強化
(4)高齢者雇用対策の強化

ほかにも上記の2項があり、都合4項目が重点運動課題だ。

TPPについては重点運動課題には含めていない。
一般方針の(2)のd)で、ことのついでに触れられている。

わが国の経済成長と雇用創出、アジア太平洋地域における公正で持続可能な発展につながるよう経済連携(FTA/EPAなど)を推進する。環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加にあたっては、幅広い分野に影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、懸念される課題について適切に対応するとともに、国民への適切な情報開示、国民的合意形成に向けた丁寧な対応を行う。

FTA推進を打ち出しているから、事実上日米FTAとなるTPPについても基本的には推進の立場ということになる。

ということで、言葉こそ慎重だが、原発維持、消費税推進、TPP推進という立場は明確である。
つまり、野田首相は民主党が掲げたマニフェストこそ破ったものの、民主党を支える連合の立場には、依然として忠実であることが分かる。