消費税論議で不思議なのは、直接税中心主義が前面に出てこないことだ。
シャウプ税制以来、直接税中心主義は日本の税制民主主義の根幹をなしている。直接税中心主義は、所得に応じた税負担を、“民主主義を支える思想”として打ち出しているところに最大の特徴がある。

その際、高度累進性と法人税、資産課税をめぐっては、議論がある。

高度累進性に関しては、累進性ゼロでもよいのでは、という原理主義的提起もある。最高税率は50%程度に抑えて、むしろ寄付等に控除をかけて、それらの行為を促進するほうが、民主主義の概念に適合するのではないかというものである。
いずれにせよ「応能制」というのは不正確な表現で、積極的な納税=社会貢献の意欲を引き出すことは重要であろう。

法人税は所得税の前取りとされて位置づけられている。間接税としての性質もあり、直接税中心主義という観点からすれば王道ではない。法人というのは人格ではないから、法人税は、原理主義的に考えればゼロであってもおかしくない。

資産課税も同様であり、所得税あるいは取得税、相続税を払って手に入れた資産にふたたび課税するのは二重課税である。

これは本来、社会に投資され、還元されるべき富を退蔵することに対抗し、社会の防衛の立場から位置づけられるべきものかもしれない。

現在、消費税増税に対しては、①社会弱者への攻撃、②経済・景気への悪影響といった観点から批判が行われているが、法人税減税とセットにして税制のあり方から問う批判がなされるべきではないだろうか。