原田靖博の内外金融雑感 が6月4日の記事でロンドン鯨事件を取り上げている。

ボルカールールとボルカー氏の思い、そしてJPMorganの巨額損失事件

と題するメモ形式の文章だ。私より一期上で東大、大蔵省、日銀という経歴。アメリカ駐在時にボルカーの薫陶を受けたという。

論評はボルカールールについての記載が主で、こちらは後で読むことにする。   JPMorganの巨額損失事件

巨額損失事件の概要

1.  JPMorganは、信用リスクをヘッジする目的で、ロンドンの投資統括室を通じてCDS商品に投資していた。しかし次第に信用リスク自体を市場で取引するようになった。

2. CDS商品の価格が、ギリシア情勢の混乱で、自らの判断とは逆の方向に動いたため、20億ドルの損失が発生した。その後の市場価格の変動によって損失は40億ドルに拡大する可能性もあるとされる。

3. 投資金額がCDS市場規模に比べ巨大化したため、情勢変化に機敏に対応しポジションを切替えることが出来なかった。

ここまでは、すでに報道で明らかであり、新たな情報はない。真相は「公表すると取引相手であるヘッジファンド等に攻勢を掛けられ損失額が拡大する惧れがあるので公開できない」という理由で明らかにされていない。しかしそれではすまないだろう。監督当局だけでなく、FRBやSECからも調査が入っている。さらに犯罪の有無をチェックするためFBIの捜査も入るとされている。(SEC調査のいい加減さは、ニューヨーク連邦地裁判決で糾弾されているが…)

本事件のボルカールール等への波及

オバマ大統領の発言は紹介済みだが、ハーバード大エリザベス・ウォーレン教授のコメントが紹介されている。

「ウォールストリートは、そのやり方を自分で変える心算はない。 従って、ワシントンが、監督の強化と説明責任の充実について真剣に取組む必要がある」

ボルカールールの施行規則は、FRB等の銀行監督当局と金融機関・業界団体等専門家との交渉に入っており、JPMorgan等大規模金融機関は既に自己勘定取引部門の閉鎖、ヘッジファンドの出資額の削減等の対応を開始している。


どうも最後の一文がうなずけない。そんな簡単な話ではないはずだが…

前半部分を読まないと、意味が分からないようだ。