といっても飲んだ人に罰金ではなく、飲ませた業者に罰金となっているが、これはどうか。

ニューヨーク市が、飲食店や映画館などを対象に、500ミリリットル以上の容器でコーラを販売することを禁止、違反した業者に200ドルの罰金を課す方針を決めた。来年3月からの実施を目指すという。

運転手のシートベルトやヘルメットについては日本でも実施されているが、おためごかしでプライバシーを侵害するのは、何か気分にそぐわない。

プライバシーというのは日本では個人の内輪のことを人目に晒されないほうにする権利ということになっているが、本来は私事権である。人に迷惑がかからない限り、世の顰蹙を買おうと、自分流を貫く権利だ。「カラスの勝手でしょう」ということだ。

耳や鼻に穴を開けようと、タトゥーを彫ろうと、ウエイ・オブ・ライフだ。世間の常識というが、そういう“常識”が過去においてどれだけ個人の自由を縛ってきたかは枚挙にいとまない。

逆にいったんそうした常識が覆されてみると、それがたんなる“陋習”でしかなかったことが明らかになる、といったこともたくさんある。

健康、健康というが、そんなに命がだいじなら登山やマラソン、劇やせダイエットを禁止したほうがはるかに有効だと思う。へんちくりんなサプリメントとか詐欺まがいの健康食品も規制すべきだ。政策担当者なら、何よりもその前に長時間労働を禁止すべきだ。

だいたいコーラを1リットルも飲める日本人などいないから、日本ではあまり話題にならないかもしれないが、忍び寄る健康ファッショと強迫観念には要注意だ。