さすがは赤旗。欲しかったツィプラスとドイツ左翼党の共同声明を報道してくれた。
22日に発表された「対案」は、正式名称を「緊縮政策と銀行救済に対する代案」と題され、6つの柱からなっている。要旨というがかなり長い。記者は1週間、シャカリキになって翻訳したのでしょう。

第一の柱: 「覚書政策」の即時中止と融資の再交渉を (「覚書政策」というのは、EUなどとの「覚書」をそのまま政策にする態度のこと)
トロイカ(EU、ECB、IMF)とギリシャ政府の融資合意は、過酷な緊縮と市場主義的改革(さらなる自由化と公共資産のほぼ完全な売却)を押し付けた。その結果ギリシャ経済は2年間で20%も下落した。まさにその結果、借金は返済不能となった。
再交渉が必要だ。これ以上の福祉の解体と民営化は避けなければならない。

第二の柱: 国家財政を資本市場への従属から解放する
ギリシャだけでなくユーロ圏のすべての国の国家財政が金融市場に従属させられている。こういう状態は打破されなければならない。
国家の資金調達は将来的には、公的銀行を通じて無利子で行われるようにすべきだ。ECBがこれを保障するよう融資を行うべきだ。ECBによる直接融資も考慮されるべきだ。

第三の柱: やりたい放題の金融市場を厳しく規制する
現在の危機の根底的な原因となっているのは資本市場である。規制を緩和された金融市場はやりたい放題を行っている。
資本市場を欧州レベルで厳しく再規制しなければならない。国家に対する投機は禁止する必要がある。金融取引税はその第一歩となるだろう。

第四の柱: ギリシャはユーロ圏にとどまるべきだ
ギリシャがユーロ圏から離脱すれば、ギリシャには無残な社会的・経済的な結果がもたらされるであろう。現在、ギリシャが自力で資金調達することはほとんど不可能だ。ギリシャは改革されたユーロ圏にとどまるべきだ。
(ユーロ離脱と通貨安により輸出産業を振興するというEUの一部の主張について)ユーロ導入後の20年で、ギリシャは“脱工業化”を遂げた。地場産業は崩壊した。価値の低下した通貨“ドラクマ”で利益を上げるような、競争力のある産業はもはや存在していない。

第五の柱: 緊縮のいっそうの強制ではなく、景気・再建プログラムを
ギリシャ経済の再建を可能にするためには、緊縮政策ではダメだ。それはもうすでに、誰の眼にも明らかだ。景気刺激策が緊急にもとめられている。
ギリシャ経済の持続可能な再建のためには、内需を増やし、社会基盤や教育・研究、技術革新への公的投資を増やさなければならない。そのための目的意識的な促進政策が必要だ。

第六の柱: 危機でもうけている者に負担を
ギリシャの国の金庫から、毎年数百億ないし数千億ユーロが失われている。それらは資本逃避や脱税によるものだ。少数の大富豪の手にある個人資産は、EU全体では公的債務の半分に達する。
経済再建プログラムと公的投資は財政的にまかなわなければならない。そのためには、高額所得者と特に企業資産に課税する必要がある。そして資本逃避や脱税と効果的にたたかわなければならない。

大変包括的で、良く出来た文章です。
本当は、このような変革を行う力をどう形成するのか、という課題があるのですが、とりあえずということでしょう。