C)民衆の困難の実態

 OECDとILOが、連名で「雇用」を訴えている。この中で以下の点が明らかにされている。

*主要20カ国では08年金融危機以降、2千万人があらたに失業した。
*現在の雇用情勢が続けば、来年までにさらに2千万人が職を失う。
*世界の失業者は世界で2億人。これは戦前の大恐慌に匹敵する数だ。

ギリシャの債務削減

今年になって1月に債務削減案がまとまった。元本を50%削減した上で満期30年の長期国債に交換するというもの。民間側の損失負担率は利子収入の減額分も含め、65~70%に達した。

発動された場合は、損失を補償する保険商品「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」の支払いが行われる可能性が高く、影響は限定的。

これを受けたユーロ圏諸国は、ギリシャへの1300億ユーロに上る第2次支援で合意。

ギリシャ国債の利回りは10年物が年30%程度で危機水準の「7%」を大きく上回る。「利払い負担で国家が破綻しかねない」(民間エコノミスト)状況は続く。

ドイツやオランダなどではギリシャの「デフォルト容認」論もくすぶっている。欧州安定メカニズム(ESM)の融資能力拡充についてもドイツは強硬に反対している。

以上の経過を見ると、ギリシャの経済危機が当初の予想以上に深刻であることが分かる。
結論ははっきりしているので、もはや緊縮政策は無理だ。投資が必要だ。それも思い切った投資が必要だ。
それと同時に投資家に対する規制が必要だ。
両方ともドイツの大企業にとっては最もやってほしくないことだろうが、それをやらないと政治的にも大変なことになる、という認識は生まれつつある。

ギリシャ、何が“緊縮”されるのか

ギリシャ債務危機に関しては、もっぱら先進国や銀行の対応ばかりが報道されています。そういうニュースを聞いていると、ギリシャは身の程知らずに贅沢してきたのだから、多少の我慢はやむをえないみたいな気分になってしまいます。

「新メモランダム」の緊縮リスト

A.給与

①基本給の22%引き下げ。初任給の10%引き下げ、つまりこれから就職する人は32%の引き下げとなる。

②賃上げの2015年までの凍結と定期昇給の無期限停止。

③正規雇用のパートタイム化の容認。

B.年金と社会負担

①年間3億ユーロの年金圧縮。

②企業主の社会保障負担の2%削減。民間企業年金基金(IKA)への企業主負担をさらに3%削減。

C.公務員、旧国営企業労働者、銀行従業員

①終身雇用制の廃止。今年さらに1万5千人の削減。2015年までに15万人にまで削減。

②契約労働者の解雇。契約の非更新。「5人退職に対し1人採用」のルールの適用。

③特別加算廃止により、総額6億4千万ユーロの削減。

④各種の公的機構、施設の2012年6月までの閉鎖。

D.2012年度に行われる付加的措置

①医療セクターの縮小。医薬品費の11億ユーロ削減。病院の医師に対する時間外手当を5千万ユーロ削減。

②政府の活動費および消費支出を3億ユーロ抑制。公共投資プログラムの4億ユーロ縮小。

③教育文化施設を閉鎖し、2億ユーロを削減。

④国防のための装備に対する支出削減。

 ギリシャは緊縮財政を3年以上続けている。GDPは5年連続の低下で、11年にはついに6.8%にまで達した。誰が見てもこれ以上の緊縮は不可能だ。それにもかかわらず、財政赤字・経常収支ともにまったく改善の兆しを見せていない。

これ以上の緊縮政策の継続が有害無益であることは誰の眼にも明らかだ。

D) 事態は政治化している

ユーロ危機を大企業の立場から解決するか、民衆の立場から解決するか、フランスの大統領選挙は一つの転換点となるだろう。支配層は苦しみの先にどんな展望があるのかを示すことが出来ない。

ノルトライン・ウェストファーレン州の州議会選挙で、与党CDUが惨敗した。ロイターによれば、CDUの得票率は26.3%にとどまり、2010年の選挙の35%近くから大幅に低下。第2次世界大戦以降で最悪の結果だという。
直前の世論調査での支持率が31%だったから、最終盤に地すべり現象が起きたことになる。やはりオランド効果が大きいのだろう。

訂正一つ: 去年7月にブログにこう書いた。

「ギリシャ支援」と言わないで欲しい 
ユーロの発想そのものを否定するわけではない。しかし金融資本の好き勝手を抑える術を持たずに走り出せば、いずれこうなることは分かっていたはず。
打つ手は打った。これでだめならギリシャをいったんデフォルトに追い込み、ユーロ圏から離脱させ、平価の思い切った引下げを断行するしかない。ギリシャはそれでよいが、残された大銀行には、自業自得とはいえ膨大な焦げ付き債権と破産の道が広がっている。
これを機会にトービン税やその他の規制により金融資本の暴走を抑えることが必要だ。というより、そこに「もうひとつの世界」とつながる鍵があるのかもしれない。

 ということで、昨年7月にはユーロ離脱とデフォールト宣言という選択肢があったかもしれない。しかしその後のイタリア、スペインの動きを見ればもはやその可能性はない。ハゲタカどもはもはやギリシャ一国だけではなく、ユーロ圏諸国を一からげにつぶそうと狙っているのである。