このところギリシャのユーロ離脱の報道が過熱している。

しかしギリシャのユーロ離脱はありえない、と思う。だいたい、ユーロ経済圏を一体のものとして考えないと、ぜんぜん話が噛み合わない。各国の独自性はもちろんあるが、まずはユーロ経済圏が一体になって成長してきた経過を踏まえておく必要がある。

ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリア、それにフランス問題は、ユーロ経済圏における労働者・勤労者の貧困化の問題なのだ。ユーロ経済圏の発展が一方に富の集中と、他方に貧困の集中をもたらした。それが地域的に偏在している、いわば域内南北問題なのだ。経済が発展すればいやおうなしに当面する問題なのだ。

いま必要なのはその調整なのであり、ギリシャの離脱を認めることは、資本主義を止めますということに等しい。

第二に、ギリシャごとき小国はその気になれば救済するのも簡単なのだ。たしかに構造的にいくつかの深刻な問題はある。それは一定の国際基準を導入しなければならない。たとえば、公務員の年金問題はラテンアメリカでも避けて通れない課題だった。

肝心なことはギリシャに住む人々を救済することであって、借金を返させることではない。問題は債務なのだ。債務をチャラにすれば、あるいは中長期の支払猶予を与えれば、少なくともゼロからの出発は出来る。その上で必要な構造改革については実行を促す、というのがだいじであって、借金をひたすら返すためのみの経済にしておけば、いずれ持たなくなるのは明らかだ。

モラルハザードというが、そういう連中にモラルなどを語る資格はない。08年リーマンショックのあとの各国債務状況を見れば、投機資本がいかに介入し、危機を増幅しているかは明らかだ。彼らの言うモラルとは「盗人にも三分の理」という程度のものだ。

第三に、ギリシャを救うこと、そのための断固とした姿勢を示すことが、他国に与える影響はきわめて大きいということだ。別にスペインやイタリアを救わなくても、ギリシャを救えばそれらの国の信用不安は治まる。同時に人の不安につけ込んで大儲けをしているヘッジファンドやデリバティブ金融は一気に没落することになる。

ギリシャは緊縮財政を3年以上続けている。GDPは5年連続の低下で、11年にはついに6.8%にまで達した。誰が見てもこれ以上の緊縮は不可能だ。それにもかかわらず、財政赤字・経常収支ともにまったく改善の兆しを見せていない。

これ以上の緊縮政策の継続が有害無益であることは誰の眼にも明らかだ。非人道的な見せしめ的な「刑罰」はただちに中止すべきだ。刑罰を与えられるべき人は別にいる。