昔フランソワーズサガンの映画で「ブラームスはお好き」というのがあった。観たこともないし、元の小説も読んだことはないが、題名だけは不思議に憶えている。そのころ(50年代前半)フランス人はあまりブラームスが好きではなかったらしいと聞いた。だからブラームスが好きなフランス人というのは一風変わった人ということになったらしい。

振り返って私に「ブラームスはお好き?」と問われると、たしかに一瞬詰まる。たしかに好きは好きだが、どこがどう好きといわれてもこれといって答えようがないからだ。

たとえばハンガリー舞曲の1番とか5番、交響曲第1番の第4楽章、第3番の第3楽章、弦楽6重奏曲第1番第2楽章などは定番的なメロディーだ。しかし好きな曲は交響曲第2番であったり第4番であったりするのだが、じゃあ好きなメロディーといわれると「さてどんなだっけ」、ということになる。

ブラームスを聞いていると、「山高きをもってせず、奥深きをもって尊しとなす」という気分になる。

といいつつも、世にブラームスフアンは多いらしい。youtubeでブラームスを検索したら数え切れないほどヒットする。

今回聞いた第4番は以下のような顔ぶれである。
①カラヤン指揮ベルリンフィル
②クライバー指揮ウィーンフィル、バイエルン国立オーケストラ
③ジョージセル指揮クリーブランド管弦楽団
④フリッツ・ライナー指揮ロイアルフィル
⑤ワルター指揮コロンビア交響楽団、BBC交響楽団
⑥フルトベングラー指揮ベルリンフィル
⑦オーマンディ指揮フィラデルフィア
⑧ヨッフム指揮ベルリンフィル
⑨ヤンソンス指揮コンセルトヘボウ
⑩小沢征爾指揮ウィーンフィル
⑪メータ指揮ウィーンフィル(上海ライブ)

演奏の良し悪しの前に、とにかくアップロードされた音源がひどくて聞くに堪えないものも多い。
ジュリーニはシカゴとのCD盤、ベルリン・シュターツカペレとの演奏が載っているが、どちらもだめだった。再アップを期待したい。メータも小沢も元の音は悪くないのだろうが、アップロード時にすっかり壊れてしまっている。

クライバーの人気が圧倒的なようで、4種類の音源がある。79年のウィーンフィルとの演奏会ライブ、おそらく同時期のCD盤のアップがあるが、いずれも音質は劣悪、その後89年と96年のバイエルンとの演奏会ライブがあるが、どちらも音質は低い。アップ時の劣化と思われる。しかもオケが二流だ。
どうせ音に期待できないなら、一番面白いのはウィ-ンフィルとのライブだろう。緊張感あふれる演奏で、ケレン味たっぷりのクライバー節だ。この人のピークはこの頃で、あとは余力で生きていたとさえ思える。

音質で選ぶなら、ちょっと古いがカラヤンの73年の演奏がよい。もっともこれはyoutubeではなくニコニコの音源だ。

録音そのものが優秀とはいえないが、演奏はセルのものがよい。地味だが聞いているうちに引き込まれる。ライナーは特別な演奏で、同感はできないが説得力がある。抵抗を覚えつつも、つい全曲聞いてしまう。オーマンディは映画音楽風だ。この曲はベンハーではないぞ。

ヨッフムは締まりがない。リズム感なしに演奏するとこの曲の弱点が強調されるようだ。クナペルツブッシュ指揮ケルン放送の音源はニキシュでも聞いているようだ。

フルトベングラーは、第4楽章のリハーサル風景がすごい。ただ昔の音としてもひどすぎる。ワルターとBBCの演奏については以前書いたとおり、コロンビア交響楽団との演奏はあまりにも音源がひどすぎて(ビニール盤が目一杯反っている)評価できない。