ギリシャの債務削減の、今年になってからの動きを、さらっとさらってみると以下のようになる。

1月に債務削減案がまとまった。

民間のギリシャ国債を元本を50%削減した上で満期30年の長期国債に交換、利率を平均年4%とした。

ギリシャの債務削減をめぐって、民間側の損失負担率は利子収入の減額分も含め、65~70%に達した。

民間投資家が持つ2060億ユーロ(約22兆円)のうち1千億ユーロ超の債権放棄が必要と想定されており、投資家の95%から同意を取り付ける必要がある。

3月に入ると、期限を目前にして削減案が計画目標をクリアした。

民間投資家の参加が85%を超え、最低限の目標をクリアした。投資家は7割もの損失を強いられ、同意しなかった投資家にも強制カットが適用される。

最終的に参加率が90%を超えれば、ギリシャの債務削減目標はクリアできるため、支援実施が確認される

発動された場合は、損失を補償する保険商品「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」の支払いが行われる可能性が高く、影響は限定的。

これを受けたユーロ圏諸国は、ギリシャへの1300億ユーロに上る第2次支援で合意。

ギリシャ国債の利回りは10年物が年30%程度で危機水準の「7%」を大きく上回る。「利払い負担で国家が破綻しかねない」(民間エコノミスト)状況は続く。

ドイツやオランダなどではギリシャの「デフォルト容認」論もくすぶっている。欧州安定メカニズム(ESM)の融資能力拡充についてもドイツは強硬に反対している。

以上の経過を見ると、ギリシャの経済危機が当初の予想以上に深刻であることが分かる。
アルゼンチンでさえ、あの豪腕キルチネルを持ってしても7割削減がやっとだった。償還期限の3月末を前にして、おおかたの民間投資家がこれだけの削減に同意したということは、ギリシャの経済が本当にすっからかんだということが、誰の眼にも明らかになったからだ。
切っても血も出ない、逆さにして振っても何も出て来ないのである。

誰がここまで搾り取ったか…
ドイツとフランスの金貸したちだ。金を貸してドイツの製品を買わせた。何も民衆が贅沢したわけではない。途上国がものを買うのは自国に産業を起こしたいからだ。
借金で工場を建てて、資材も買い揃えてさぁ操業開始というときにリーマンショックだ。
ドイツは最初、東ドイツに投資し、ついで南欧に投資した。さらに最近は東欧諸国に投資先をシフトしている。だからリーマンショック前からすでに南欧は調子が悪かった。おなかを壊した人がインフルエンザにかかったみたいなものだ。

結論ははっきりしているので、もはや緊縮政策は無理だ。投資が必要だ。それも思い切った投資が必要だ。
それと同時に投資家に対する規制が必要だ。
両方ともドイツの大企業にとっては最もやってほしくないことだろうが、それをやらないと政治的にも大変なことになる、という認識は生まれつつある。