当たり前だが、雇用が減ることは財政に対して二重のマイナス効果がある。
ひとつは税収の低下だ。ひとつは貧困対策費の増加による財政支出の増加だ。
この二つのほかにも、貧困・失業の増加につれて社会不安が強まれば、安全対策費も計上しなければならなくなる。何よりも日本が物騒な国になるというのは、耐えられないストレスだ。
だから財政を根本的に改善するためには、少なくとも中長期で見れば、雇用の増加が最も根本的な対策だ。

もちろん、そうは言ってもない袖は振れない。江戸時代にも何度も倹約令が出され、「改革」という名の緊縮政策が実施された。だから緊縮政策に何でも反対というわけではない。
雇用といっても何でも維持せよというわけでもない。江戸時代の改革が結局失敗したのは、「武士」という無用の長物を整理できなかったからだ。士農工商・エタ・非民という身分構造を改めようとしなかったからだ。

いまの世の中で言えば、特権的な資産家階級だろう。ここにメスを入れない改革は必ず失敗するし、最終的には「革命」に取って代わられるだろう。

それはそれとして、財政再建を雇用の確保と結びつけるためには産業政策が必要だ。個別にはいろいろあるが、結論から言えば国内雇用を促進する産業政策が必要だ。大企業ははっきり言って産業政策の対象にならない。雇用を促進するどころか海外進出で空洞化を促進しているからだ。

ILOの国際労働問題研究所のトレス所長は、「緊縮の罠」を強調した上で、「生産に投資しない企業に重く、雇用創出に投資する企業には軽く課税する」という税制改革の方向を提唱している。(5月8日赤旗「経済の視点」より)

「緊縮の罠」はおそらく「流動性の罠」からの連想であろうが、緊縮政策のジレンマを言い当てていると思う。