5日の赤旗は、一面にでかでかと木村さんの証言を取り上げている。さすがそれだけの重みがある。
木村さんは40代後半の人で東電の付属高校を卒業し、以来東電一筋。福島第一原発の炉心運転・設計業務を12年間つとめた。10年前に東電をやめ、いまはソーラー発電の会社を立ち上げているそうだ。経過を聞いただけでもそれらしい雰囲気が漂ってくる。

以下発言を紹介する。

①今回の事故はある程度予見ていました。91年に1号機のタービン建屋で海水漏洩があり、非常用ディーゼル発電機が水浸しになりました。そのときに、津波がきたら、冷却用の海水ポンプも非常用ディーゼル発電機もだめになるだろうと思いました。

②上司にそのことをいったら、「そうだけど、津波の過酷事故を想定するのは安定審査をやっている裏方の中ではタブーなんだ」という返事がきました。

③04年(やめた後)、スマトラ島沖津波を見て、ミニコミ誌にこう書きました。
「津波襲来により、冷却用海水ポンプや非常用の電源だどの機能が喪失するだろうから、結果的には炉心は溶融するであろう」

とくに③が大事で、木村さんは今回の事故を見事に予見していたことになる。しかも確率がどうのこうのというような高級な話ではなく、現場で働くあいだに事故を体験し、その体験に基づいて危機を感知していたことになる。カナリアは警告を発していたのである。

ハインリッヒの法則というのがあって、重大事故の起こる前にはその30倍の頻度のニアミス、300倍のひやり・ハッとがあるということになっている。現場はそれを押さえているはずだ。医療を管理する立場の人間として、「想定外」という言葉には、どうしてもそこが引っかかっていた。

それが今度、出てきた。「やはり」という感じだ。管理者が予兆を把握していなかったこと、それを隠そうとしてきたことが分かってきた。

最近は「想定外」という言葉をトンと耳にしなくなったが、想定外という言葉は逃げ口上どころか、「想定すらしていなかった」との自白に等しい、ということがどうやら分かってきたようだ。