野田首相が念願の訪米を果たし、オバマとのあいだに共同声明を発表した。
日本の政治体制の脆弱性から見ると、どの程度の有効性を持つものかは評価が難しい。
しかし、日米同盟強化という自民党時代からの基本路線を受け継ぐことを再確認したことは、それなりの意義がある。その上でどこに踏み込もうとしているかに注目しなければならない。

日米同盟という言葉を連発するようになったのは小泉首相だ。「日米同盟」は安保条約体制であり、軍事同盟そのものだ。軍事力の傘をアメリカが差し出し、その下に日本が組み込まれている、これが日米同盟の本質だ。
東アジアの市場を見つめる眼は一致している。しかしアメリカの思いは東アジアへの進出だ。東アジアの軍事バランスについては、率直にいってどうでもいい。
南シナ海での紛争へは介入するが、それは東南アジアへの政治的影響力の拡大が目的であり、ひいては経済進出だ。それはもう15年も前の「ナイ構想」の頃からはっきりしている。
地球の裏側で中国と本気になって事を構えるつもりはない。それはASEAN諸国も織り込み済みだ。
日本の場合はそれとは少し異なる。



歴史的に見れば朝鮮戦争、ベトナム戦争と、日本は反共の防波堤の役割を果たして来た。その歴史はいまだに日米関係に影を投げかけている。
いっぽうで、80年代に日本はアメリカの最大のライバルとされ、通商でも通貨でも狙い撃ちされた。
そのときからソ連の崩壊に至るあいだが離脱のチャンスであったが、多少の距離感は形成されたものの、日米同盟関係はほぼそのままの形で維持された。

97年に始まる日本の長い経済危機の中で、ふたたび日米関係が見直され、むしろ強化されるようになった。
それは基軸通貨であるドルを最大の武器とする金融政策の発展により、アメリカがふたたび好況を迎えたのと期を一にしていた。


日米同盟は大企業の収益力確保のための売国的行為であるという事実が徐々に浸透して来た。それを糊塗しようとして、靖国から北朝鮮の拉致問題、四川省の反日暴動などを持ち出しているが、「ソ連が攻めてくる」式の宣伝に比べればいかにもバランスが悪い。

ソ連の崩壊とその後のロシアの経済低迷により、東アジアの軍事的緊張は緩和された。軍事的緊張が去り東アジア共同体も展望されるようになった今、軍事同盟は歴史的遺物でしかない。北朝鮮がどうであろうと中国がどうであろうと、これは疑いのない事実である。