焚き火をしていて、みんながもう寝てしまって、火ももう消えかけて…
「お前、最後まで起きているんなら、火を消しておけよ」といわれて、
うづみ火をかき起こすと、おもてにさらされた名残の熾きが、ほぉっと朱に染まる。
じっと目を晒すと、白い綿毛のような灰が膨らんで、
その中に赤い炭がちじこまって行く。
遠ざかってゆく汽車のテールランプのように、
それはしぼんでしぼんで、最後に角を曲がるようにフと消える。見落とすほどの一瞬だ。
「きれいな人生だったよな」と…
キミは、そういうみごとな瞬間を、
見たことあるか?