まず事実確認をしたいのだが、目下のところ不明である。
「井戸川町長」と入れてグーグル検索をすると真っ先に出てくるのがこの2チャン記事だ。

福島県双葉町の井戸川町長が恥ずかしげなく東電に憤る

山口治太郎美浜町長、福島県双葉町の井戸川克隆町長ら全国3市4町の8人が首相官邸を訪れ、首相が原発増設計画の見直し方針を示している点に関しては、時期尚早と述べ、「原発増設の見直しをするな、推進せよ」と官邸に要望 した。

このソースは産経らしい。http://sankei.jp.msn.com/region/news/110426/fks11042602090001-n1.htm とリンクが張ってあるが、もうその記事には当たることはできない。それでこの「事実」を元にスレッドが立てられ、875通ものレスポンスが集中している。

そのほとんどが原発反対派の人のようだ。2チャンネルらしく聞くに堪えないほどの口汚さだ。しかし井戸川市長がそんなことをしたのなら、そのくらいは言ってもおかしくない。まさに「自己責任」の世界だ。

ところが、どうもこの報道はデマだったようだ。記事そのものにあたれないので正確ではないが、その後の井戸川町長の言動をフォローする限り、状況は逆だと考えるしかない。

そもそも井戸川町長のことがなぜこんなに気になったかというと、彼の記者会見での一言がずっと心に引っかかっていたからだ。

原発を誘致した責任については、「その責任はある」ときっぱり。どのように責任を表したら良いか考えているとしたうえで、原発を誘致した自治体すべて同罪であるとの考えを示­した。また原発の再稼働に関しては、「今回の事故を最後にしなければならない」として、自分たちを「反面教師にして欲しい」と話した。

当事者としてそこまで言った勇気は、贖罪の気持ちまで含めて本物だと思うから、心から信じるほかない。そういう心底を持つ人間が、今この時点で「原発推進」を呼号するなどありえない話だ。彼は捨て身だ。修羅となっている。肉を切らせて骨を切ろうとしている。最後の避難所=死に場所は永田町だと心を決めている。自らは死ぬ覚悟で相打ちに持ち込もうとしている。せめて一太刀を浴びせようとしている。

だからこの記事はでっち上げだ。

産経新聞は絶対にうそをついている。しかも被災者の気持ちに寄り添うなら許せない卑劣なうそだ。この言い方は決して論理的ではない。しかし論理を超えた論理だ。

まず事実問題として追求してほしい。このスレを立てた人は明らかに産経新聞の愛読者で、東電の回し者だ。2チャンネルの人々も、もし原発反対派なら産経新聞の記事を鵜呑みにすべきではない。