原子力安全・保安院は経産省から切り離され、ほんとうに安全のための機構として動き始めたのかと思ったが、どうも相変わらずのようだ。
それはストレステストの妥当性を保安院が認定したところから始まるのだが、どうもメディアとつるんでいるとしか思えない。もし問われれば、「ストレステストの方法に問題がなかったことを承認しただけで、安全だと評価したわけではない」と逃げるに決まっているだろうが、それが安全性の保証であるかのように取り扱い、野田首相が再稼動を示唆し、それをメディアが無責任に垂れ流すという筋書きは、一種の詐欺だ。

その点では、原子力安全委員会の班目委員長の答弁」は重大だ。

安全評価としては不十分で、二次評価までやっていただきたい。

どこが重大かというと、保安院が安全委員会と無関係に仕事していることが明らかになったからだ。
保安院の認定は、安全評価を勝手に一次と二次に分け、その一次がクリアしたというに過ぎない。
しかも安全委員会の了承を得ずして発表され、政府はそれを「一定の知見」として評価してしまっている、という構図だ。

これは明らかにおかしい。

基本的には、保安院は電力会社とではなく、安全委員会と一体になって動かなければならないはずだ。ことに福島以降はそうならなければならないはずだ。絶対に、安全委員会の頭越しをやってはいけない。

率直に言えば、事故のときに真っ先に逃げ出した保安院にどうのこうの言う資格があるのか? との疑問は国民がひとしく持っている。だから国民の信頼を回復するためにも、保安院は襟を正さなければならないのだ。
そこの反省があるのか? という疑問がわいてこざるを得ない。