あまり好きなピアニストではないのだが、どういうわけかブレンデルのショパンが良い。もう少し聞きたいと思って探していたら、嫌なものにぶつかってしまった。
ホロヴィッツの東京コンサート。英雄ポロネーズがアップされている。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm354201
1983年だそうだ。もう30年も前になる。たしかメシ食って風呂に入って、テレビの前に座って「さぁ世紀の演奏が始まるぞ」と期待していたと思う。
それが最初の演奏から嫌な予感、「なんじゃこれは」と思っているうちますますひどくなる。ダルビッシュが初回から大乱調という感じだ。
にもかかわらず、聴衆は一曲ごとに盛大な拍手。
確かにキラキラと輝くホロヴィッツサウンドだ。しかし155キロのストレートでも、ストライクが入らないんじゃしょうがない。割れたクリスタルのワイングラスは、どんなに綺麗でも、どんなに高価でも、捨てるしかない。
嫁さんはまだ見ていたが、私は自分の部屋に戻った。

それをわざわざアップロードしてくれた人がいる。確かに見なおしてみると、衰えではなく何か体の異変のようだ。しかしババアのストリップであることに変わりはない。

クリスタルガラスを爪で弾くと澄んだ音がします。練りガラスだとポクポクとした音です。子供の頃の記憶では、ピアノの音はただのピアノの音でした。
その後レコードで聞いたケンプやルビンステインのピアノの音はもっとクグモッたものでした。グールドのピアノは木魚を叩くような音でした。
初めてドビュッシーを生で聞いたときは、ピアノからこんな音が出るのだと知ってびっくりしました。
ショパン・コンクールの直後に聞いたダン・タイ・ソンのショパンはまさにクリスタルでした。だから私のピアニストへの要求は、まずいい音を出してくれ、勝負はそれからだというものです。

絶頂期の上原、それにダルビッシュ、速いだけではない、あのエグれるようなグルーヴの効いた直球がまさにピアノの魅力です。