自動車会社の6重苦が盛んに宣伝されている。6重苦とは、円高、法人税の高さ、貿易自由化の遅れ、労働規制、温室効果ガス抑制、電力不足を指す。
しかしこういうのを世間では「三味線」という。自動車会社が本当に苦しいのは内部留保で太りまくって、バンドの皮がきついことである。

囲碁の坂田名人は、自分が優勢なのに「苦しい苦しい」とぼやくのが常だった。相手の棋士は「殴ってやりたくなった」と告白している。私達も今、同じ気分である。

日本国民はいま本当に苦しい。政府も本当はとても苦しい。自動車業界の三味線などに付き合っている暇はないはずなのだ。

6重苦の第一は不景気だ。第二は失業と不安定雇用だ。第三は社会保障の削減と将来の不安だ。第四は増税と負担増加だ。第五は子育て環境の悪化だ。そして第六は核汚染や震災の不安だ。

まだあるぞ、農業の壊滅と国土の荒廃をもたらすTPPへの不安だ。底辺での外国人労働者との競合を迫られる自由化への不安だ。民主主義を死に追いやる比例区減員と忍び寄るファシズムへの不安だ。中国との敵対関係強化と沖縄の戦時体制組み込みへの恐怖だ。

円高は輸出超過が続けば当然の結果だ。輸入超過になれば円は下がる。輸出超過を続けて円を下げるのは計算が合わない。こんなことは小学生でも分かる。今年ついに輸入超過になった。これからも輸入超過は続くだろう。円高になったのは一生懸命働いたお礼なのだから、しばらくはそれを享受しようではないか。

マルクスが言う通り、享受は最大の生産力である。享受は欲望を産み、欲望は需要となって生産を刺激する。
高齢化社会は韓国でも20年後に訪れる。中国はひょっとしたらそれより早いかもしれない。日本は高齢化社会のあり方と、そこでの生産のあり方を示す先進例となるだろう。

このサイクルを一刻も早く創りだすことが、日本再生の道である。