さて本題だ。エクアドルの経済と財政のパフォーマンスは一体どうなっているだろう。

これについて木下氏は、きわめて興味ある評価を下している。

以下要旨を辿る。

2008年秋の金融危機以降、国内経済のファンダメンタルズが急速に悪化 したことを受けて、政権は急進化 の傾向を強めた。

コレア政権は市場原理を重視した新自由主義路線から、国家の役割を重視する社会主義路線へ と経済政策を転換した。

経済の底上げを目指して、公共事業や社会政策への政府支出を大幅に増やしている。

コレア大統領は政権発足からこれまでの4年間、経済政策を疎かにし た。

国内の経済社会情勢は厳しさを増し、コレア政権に対する国民の不満が高まっている

完全失業率は6.1%・不完全失業率は47.1%(2010年)と労働生産人口の半数以上が依然不安定な雇用環境に置かれている。また、貧困率は33%(地方部では52.9%)で、国民の3人に1人は基礎的食糧品を購入するだけの所得(約2ドル/日)を得られない状況に置かれたままである。

国民はコレア政権の発足に希望の光を見出し、貧困削減・格差是正・治安改善などといった経済社会面での向上を期待したが、国民が期待したほどの成果はなく、国民の生活は以前と何ら変わらないどころか、むしろ悪化 しており、閉塞感だけが漂い 始めている。

問題はそれだけに留まらない。コレア政権は財政規律を無視 し、大規模な財政支出や公的投資を繰り返しているため、政府の財政状況は厳しい局面を迎えている。

2010年は約41億ドル(GDP比7.2%相当)、2011年は約53億ドル(GDP 比8.5%相当)の財政赤字 が発生すると見られている。政府はこの膨らむ財政赤字を補填するため、中国からの債務 を増やすなどして凌ぐ現状である。(石油を担保に、4回に分け総計50億ドルの融資を受けている)

このように、コレア政権の前には険路が続き、国内の政治経済は混迷の度合いを深めている

 

イタリック体は私がつけたものだが、学術論文らしからぬ独断的・感情的表現が書き連ねられている。

いくつかの疑問がただちに浮かんでくる。

①国内経済のファンダメンタルが急速に悪化しているのか。

②政権の経済政策は09年以降急進化したのか。

③国家の役割を重視したら社会主義路線になるのか。

④公共事業や社会政策への政府支出は大幅に増えているのか。

⑤コレア政権は経済政策をおろそかにしているのか。

⑥コレア政権に対する国民の不満は高まっているのか。閉塞感が漂っているのか。

⑦失業率や貧困率は高まっているのか。あるいは改善は見られないのか。

⑧国民の生活は悪化しているのか。

⑨コレア政権は財政規律を無視しているのか。

⑩財政支出や公的投資は過大なのか。

⑪莫大な財政赤字が発生しているのか。

⑫中国からの新たな借款は不適格なのか。

以下、順を追って考えて行こう。

①国内経済のファンダメンタルが急速に悪化しているのか。

経済マクロはGDP、物価上昇率、失業率、貿易収支あたりを押さえればよかろう。

前提となるものが二つある。一つはリーマン・ショックはラテンアメリカ諸国を例外なく襲っている。したがって経済の急速な悪化は「市場重視」の国でも共通している。エクアドルが特にひどいかどうかを見なければならない。もう一つは、これはベネズエラ経済の分析の際にも触れたことだが、エクアドルは輸出の半分を石油に頼る石油産出国であり、原油価格の変動は経済に著しい影響を及ぼすことである。この間の原油価格の乱高下との関連を見ておかなければならない。

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エクアドルの名目GDP(USドル)の推移


 

 

 

 

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実質経済成長率の推移(エクアドル、コロンビア)


 

 

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失業率の推移(エクアドル、コロンビア)


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インフレ率の推移(エクアドル、コロンビア)



国際収支の推移(エクアドル、コロンビア)













以上のグラフは「世界経済のネタ帳」から引用させていただきました。