重大ニュースを逃していたようだ。

18日、カタールを訪れた温家宝首相が「イランの核兵器製造と保有に断固として反対する」と語った。そして「中東非核地帯の創設」をあらためて主張した。また記者団の質問に答え、イスラエルを非核地帯の例外とすることはありえないと述べた。

23日、イスラエル副首相は「中東非核地帯についての中国の考えに賛同する」と表明した。


これが26日付の赤旗記事。あわててネットで各紙報道をあたってみた。

2012年1月18日、カタールを訪問中の温家宝首相は記者会見に臨み、イランに対する国連制裁を支持する方針を示した。(新華網)

産経新聞は北京特派員記事

中東を歴訪していた中国の温家宝首相は18日、訪問先のカタールの首都ドーハで記者会見し、イランが示唆しているホルムズ海峡の封鎖について「いかなる状況にあっても、ホルムズ海峡の安全と正常な航行は保証されねばならない」と述べ、封鎖に反対の立場を示した。

温首相は「(ホルムズ海峡での正常な航行は)世界的な利益、全人類の利益だ。どんな問題が発生しても極端な措置を行うことは世界の各国と人々の願いに反する」と強調した。

一方で、「中国のイランとの石油貿易は通常の通商行為であることを明確にしておきたい。正当な貿易は保護されるべきだ。さもなければ世界の経済秩序が混乱に陥る」とし、中国がイランからの石油輸入を継続する方針を言明した。

中国筋によると、温首相の一連の発言は、中国政府内の国際協調派の意見を代表しているが、軍や保守派を中心にイランを支持する声は少なくないという。

ラジオ・イランの日本語版というページがあるんですね。

そこでも温家宝発言を紹介しています。

「イランと中国の関係が、敵対的な措置の影響を受け、世界の秩序を乱すようなことがあってはならない」

「今後も中国は、アメリカの一方的で不当な対イラン制裁には同調しない」

「中国はイランの石油を必要としており、地域におけるアメリカのダブルスタンダードに従うことはできない」

この発言は、中国が、イランをはじめとする中東諸国の石油を必要としており、アメリカなど、西側の理不尽な要求に屈するつもりはないことを示しています。(この一文はラジオ・イランのコメント)


メディアのめがねは油で曇っているようです。

温家宝発言の一番のポイントは、「イランの核兵器製造と保有に断固として反対する」態度を明らかにしたことです。その前提として、イランの核開発が決して平和目的ではなく、核兵器の開発にあると断定したことです。ここが一番大事です。

第二には、イランとイスラエルを含めた中東地帯の非核化を目標として掲げたことです。核の競争ではなく平和の競争を地域の目標として提起したことです。

第三に、制裁に加わるかどうかという踏み絵を突きつけるのは正しくない。石油貿易が正当な貿易である以上、世界の経済秩序はそのようにして決められるべきではない、ということです。

産経新聞は第三の主張のあとに、“…とし、中国がイランからの石油輸入を継続する方針を言明”とコメントをつけちゃっていますが、たしかに現実にはそうなるのでしょうが、温家宝が言っているのは原理・原則の問題なので、このコメントは真意を歪める結果になっています。

一般メディアの報道は一番目と二番目の問題にはほとんど触れていません。言い訳になりますが、私が温家宝発言を見逃したのもそのためです。しかし非同盟諸国がこの問題に関して曖昧な態度をとり続けている中で、またロシアが二枚舌外交を展開する中で、中国のきっぱりとした態度は鮮やかに映ります。

イランはかつて米大使館人質事件で経済制裁を受け、その後も実質的なアメリカの軍事支援を受けたイラクとの戦いを経験してきました。経済制裁の有効性も否定はしませんが,それだけでは核開発をやめさせる決定的な力にはならないと思います。

非同盟諸国、途上国を含めた世界の国々の世論の包囲が、結局は一番有効だろうと思います。そういう点から見て、中国の意見表明の効果は決して少なくないと思います。

昨年暮のASEANとの南沙諸島問題での合意実現といい、いよいよ今世紀初頭の華々しい中国外交が復活するのか、楽しみになってきました。