消費税引き上げ反対の議論の中で、有力な論拠とされているのが、1997年に橋本内閣が行った消費税2%引き上げをふくむ9兆円の国民負担増だ。

これが実施されたあと、日本は現在まで続く長い低迷期に入っている。この間、01年から数年間にわたりGDPの着実な上昇を伴う「好況」期があったが、国民の側にはなんらの恩恵もなかった。

そういう日本の近過去史において、97年の9兆円負担増はたしかに一つのランドマークとなっている。

ただ、消費税が2%上がったことがすべての根源なのか、郵便ポストの赤いのもすべて消費税が悪いのかといわれると、もう少し正確な議論が必要だろう。

この15年間、着実に庶民の暮らしは後退している。これは疑いのないところだ。一方、消費税こそその後引き上げはないが、社会保障・年金等で国民負担は確実に増加しているにもかかわらず、財政赤字は天井知らずで増え続けている。

したがって、消費税そのものをめぐる一番の論点は、国家財政改善に対して消費税の増税は有効なのかという点にあるのだろう。

答えは明確だ。97年問題をめぐる議論はいろいろあるにせよ、それが財政改善には役立たなかったということははっきりしている。消費税が財政健全化のツールとはなりえないことは、すでに証明されたといえる。

さらにいえば、消費税には天井がある。しかもこれは、まごうことなき大衆収奪であるから、3割4割というには軍事独裁並みの暴力的支配が必要になる。そのさきに打つ手はなくなるという最後の手段である。

いまそれを使うんですか? という疑問があっても当然ではないだろうか。