正月にNHKで「長江源流地帯を行く」みたいな番組があって、原付のパラグライダーから撮影した景色がほんとうに綺麗でうっとりした。
ただ気になったのはイケメンのレポーターが現地の少女に惚れ込んで、上海まで一緒に行こうと誘った経緯だ。その話は結局おじさんという人物が現れて、ダメを出したためにご破算になったのだが、彼女はすっかり行く気まんまんだった。
上空を通過するジェット機を見て、「あそこには道があるの?」と問うあたり、いささか「むっ」ときた。民放ならともかく、NHKの番組としては節度にかける。中国から抗議が来てもおかしくない。
「渋カジ」のいい若い衆が1ヶ月も人里離れた山奥で暮らせば、そうとう溜まってくるだろう。しかし上海まで連れていってどうなるのだ。若い衆にすれば上海に帰れば娑婆の空気が懐かしい、東京はどうなっているだろうかと、帰心矢のごとくなるのは明らかだ。
純朴な娘にクラっと来る気持ちはわかるが、現地の女性に出来心で手を出してはいけない。
手を出すなら一族郎党、まとめて面倒みるくらいの覚悟が必要だ。少なくともそれをテレビで放映してはいけない。それが仁義というものだ。

世界中の、とくに田舎では間違いなく、男女は同権ではない。上海に行って帰ってくれば、もうその娘は傷物あつかいになるかもしれない。傷みというのは、受けた側には恨みを残すが、与えた側にはなかなか分からないものだ。
「上海まで一緒に行こう」という誘いが、その現地でどういう意味を持っているかを知った上で、くれぐれも日本 放送協会は慎重に行動すべきであろう。

北大の学生時代、セツルメントをやっていた。対象地域は日高のアイヌ部落だった。現地で支えてくれる人々がいるとはいえ、いつ壊れてもおかしくない極めて微妙な関係を保ちながらの活動だったから、この手の問題は細心の注意を払った覚えがある。