一瞬目を疑ったが、いまどき原発推進を掲げる会社があった。
「こちら経済部」という囲み記事の一節なので、詳細はいまのところ不明だが、中身はこうだ。

①政府のエネルギー基本計画策定会議で、原発依存度の低減を盛り込むことを合意事項とした。
②東レの榊原会長は「原発依存度の低減」に反対した。
③その後の発言で、「原発依存度の低減」が見解の一致を得たとは受け止めていないとし、あくまで反対を貫く姿勢を明らかにした。

ということで、論理的結論としては原発を推進せよということになる。
総発電量が減少しない限り、依存比率を維持するということは、現状維持ないし増大以外にはないからだ。

福島の人にはこのニュース届いているのだろうか。
しばらくは東レの服は買わないようにしようか、といってもユニクロし買わない人には縁ないけど。いっそ榊原会長の顔写真つきのTシャツでも売ればいいのかな。

ネタを探したら、あった。
堂々と原発礼賛論を展開している。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihon_mondai/002_07_10.pdf

短期的には
③既設原発については、徹底的な安全チェックを行った上で国民不安を払拭し、安全性が
確認できた設備については地元住民の合意を前提に逐次稼働させる。

中・長期的には
③原発については、今回の福島の事故の経験と教訓を活かし、日本の科学技術力を駆使して、安全性の格段に優れた原発技術を開発し、我が国の将来の基幹エネルギーの一つとして位置づけると共に、諸外国にも普及させ世界のエネルギー問題の解決に貢献する。

3.科学技術立国としての日本の役割
福島第一原発の事故を機に世界のエネルギー政策が大きな転換点を迎え、日本の政策対応が注目されている今こそ、わが国は科学技術立国として国家を挙げてエネルギー関連の革新的研究開発テーマに取り組むと共に、安全性の格段に優れた原子力発電技術の開発を推進して先進的なエネルギー政策を推進する国家像を世界に示し、また革新的技術を世界に発信して世界のエネルギー問題の解決に貢献すべき。

そのためには、我が国は第4期科学技術計画の中で挙げているエネルギー関連の革新的研究開発テーマ、原子力発電技術の進化を最重点テーマに掲げ、国家の研究・開発予算の思い切った傾斜配分をすべき。

囲み記事の紹介のようなもって回った言い方ではない。あからさまに推進を呼号している。
JR東海の葛西会長の時も感じたのだが、とにかく人格があまりに軽い。被災者に対する思いなどひとかけらも感じられない。人の上に立つものとしては、人としての思いやりとか、ときには心の痛みとか必要なはずなのだが、今の経営トップというのはここまでドライなのか。
ところでみなさん、どうします?