前原氏はコメや小麦などの関税率が高いことを挙げた上で、「こんにゃくなんて(関税率は)1706%だ。主要な産地は群馬県で、群馬からたくさんの首相が出ていることに(関税率の高さが)現れている感じがする」と指摘した。(2011.2.16)

このときは現職の外相。閣僚発言としてはかなり下品だ。

それにしても1706%という数字、只者ではない。本当だろうか、どこから出た数字なのか、グーグルを当たってみた。

WTO農業交渉とこんにゃく産業

清水徹朗

調査と情報 2005. 11

①輸入価格の決まり方

関税率は品目ごとに定められているがこんにゃくの場合、40%の一次関税がかかり、さらに現地流通・販売価格の如何にかかわらずキロ当たり2796円の二次関税がかけられる。

だから原価が100円とするとこれに1.4をかけて140円、さらに2790円が乗せられるから2930円になる。この場合関税率は2930÷100×100で2930%になる。

生いもはこのくらいの価格だ。しかしたとえば中国からは「精粉」の形で入ってくるから原価はキロ600円くらい。そうすると1.4をかけて2796を足すと3600円くらい。これを600で割ると600%ということになる。

つまりこんにゃくの関税率はあくまで実勢であり、定率ではない。

正確には下の表を参考にしてほしい。

https://livedoor.blogimg.jp/shosuzki/imgs/f/1/f1349ce2.jpg

そうするとこんにゃくがどういう形態で入ってくるのかが実際の関税率を決めることになる。これについては具体的な数字は示されていないが、過去5年間の平均輸入価格はキロ306円とされているので、生いもの形で入ってくるものは少なく、荒粉と精粉が半々の割合というところであろう。

これは914%の関税率に相当するとのことなので、1700%というのは少なくともこの10年に限っては妥当な数字とはいえない。

なおウィキペディアには下記のごとき記載があった。

2009年8月31日、こんにゃく芋に対してセーフガード(緊急輸入制限)が発動し、2次税率が1kgあたり2796円から3728円へ上げられた[12]

ウルグアイ・ラウンド合 意によってこんにゃく芋の関税化が始まった1995年当時は輸入品価格が安価であったために、それに対する2次税率の関税率は1706%に相当した。しか し、近年は輸入品価格も上昇し、2008年は1キロ当たり800円程で取引されているため、関税率は350%程度である

「こんにゃく原料市場」というサイトでは下記の記載がある。
 
コンニャク原料は、情報の非対称性が多い産業構造になっているが、「正直な話として」「ここだけの話として」と切り出される場合、 その逆の「フィクションとして」「スピーカーつきの話」と解釈したほうが良さそうである。

②棲み分けは進むだろう

こんにゃく製品の輸入量は3万トンあまり、額にして25億円となっている。こんにゃくいもの輸入量より大きい。

こんにゃく製品の輸入は既に自由化されており、関税率は20.3%である。輸入価格は70~80円であり、これは国産価格(卸売価格)の約5分の1で、関税を払っても国産価格の4分の1である。

ただし、輸入品は品質が劣るため、国産品が輸入品にシェアを大きく奪われるという現象は起きていない。

日本でのこんにゃく製造は機械化しているが、日本の機械を中国に持ち込んで日本に製品を輸出するメリットはそれほど大きくはないとされている。

③こんにゃく生産の将来

中国や韓国では、日本のように日常的にこんにゃくを食べる習慣がなく、中国では自生しているこんにゃくいもを農民が掘り出して工場に持参するという形態が主である。

つまり原価はタダといって良い。

日本の一部のこんにゃくメーカーは中国に進出して日本向けに製品輸出を行なうようになっている。

こんにゃくいもの生産コスト引き下げには限度があり、中国の低賃金による生産とは対等には競争できないため、関税率を大幅に引下れば生産は崩壊するだろう。