実は同じような話題で、以前にも「更新記録」に書いていた。ブログには転載してなかったのでもう一度載せておく。

2011.4.07
 
震災報道がなければトップニュースになっていたかも知れない記事。「中南米カリブ海の18カ国/貧困層6年で11ポイント減」というタイ トルだ。ちょっと解説が必要だが、ECLACという国連の地域機構が行った調査で、貧困層と極貧層の年次経過を見たもの。表にするとこうなる。
アリシア・バルセナECLAC事務局長/IMFの機関誌「F&D」より

全人口に対する割合

2002年

2008年

減少率

貧困層

44%

33%

25%

極貧層

19%

13%

32%

貧困層+極貧層

63%

46%

27%

バルセナ事務局長は、これについて以下のように説明している。
 02年経済危機の後の年月は、中南米カリブ 諸国にとって繁栄のときだった。1.貧困層が顕著に減り、収入格差はやや縮小した。2.その背景には「経済成長と政府の社会政策の相互作用」があった。 3.90年に貧困層救済のための予算はGDPの12%だったが、08年には18%に増えている。4.労働者保護が推進され、非正規労働者の減少と正規雇用 の増加が進んだ。
これに加え記者の解説にはこうある。
 調査対象国の多くは革新政権で、貧困者対策や就学手当てなどを充実させてきた。

私がこの表から読み取ることは
1.2002年における中南米のすさまじい貧困。人口の2/3が貧困層という数字はただものではない。
2.この貧困をもたらした80年代の「失われた10年」と90年代「絶望の10年」における、先進国のすさまじい収奪。
3.左翼ナショナリズムの「チャベス・モデル」、そして左翼リベラルの新自由主義との決別、その相乗効果がもたらした大成功。
4.対米依存型開発モデルの破綻と影響力喪失。ただしこれは読みすぎかもしれない。
  いっぽうで、メキシコなど対米依存型開発をさらに強化せざるを得ない状況に置かれた国も存在する。また経済制裁下にあるとはいえ、中南米各国の支援を受け たキューバの経済改革の動きも注目される。もちろん日本との比較はできないし、チャベス・モデルを引き写しににすることもできない。しかし、その気になれ ばわずか6年でもこれだけのことができるということは、心にとどめておくべきだろう。
 それにしても2002年という年、中南米の歴史的転換にとって決定的な年のようだ。少し「2002年」をテーマに振り返ってみる必要がありそうだ。