財務省の国際収支状況によると、10年度の海外子会社からのもうけは3兆1300億円だ。
正確に言うと、日本に籍をおく企業が海外企業に投資し、その配当として受け取った金額の総計である。
今年はタイの水害などあるものの9月までですでに2兆7千億、記録更新は間違いなさそう。
赤旗の作成したグラフでは、01年におよそ1兆円だから、10年間で3倍化したことになる。
しかもこの金は、まるまる儲けとなって企業の懐に入る仕掛けになっている。その仕掛けというのは09年度税制改正である。この改正で海外子会社からの配当金の95%が非課税となったことである。


この税制改正は非常に分かりにくい。説明を読んでも何のための改正かが分からない。
私の感想としては、
①受け取る企業側から見れば、これは収益ではなく、純利益であり、税金がかからないことは不当と言わざるを得ない。税の校正の観点から見て著しく逸脱している。
②配当といえば不労所得のようなもので、高い税率がかけられて当然と思う。少なくとも5%というただ同然の税率が許されるとは思えない。
③自らの無知を承知で言えば、そもそも海外子会社からは、配当以前に利益の一部が還元しているのではないか? そうでないと一般の株主と同じことになってしまう。
海外進出企業は、一般投資家の投資リスクとは別に経営リスクを背負っているはずだ。当然それに見合うリターンがあるべきだ。それについては一定の配慮があっても良いのかも知れない。
④海外投資からの配当に対して減税するということは、資金の海外流出を奨励する措置ではないか。空洞化を抑制しようとする国策とはマギャクの方向ではないか。