テレビ桟敷でブロムステット指揮NHK交響楽団のブルックナー交響曲第7番を堪能した。かみさんはしかめっ面しているが、構うことはない大音響だ。
玄人は8番、9番だろうが、私ごときには4番と7番で十分である。いい演奏だった。ベームとウィーンフィル以来である。
それにしても客席ががらがらだ。いったいどうしたんだろう。この組み合わせで空席など考えられない、と思って調べた。
台風の襲来日だった。しかも並みの台風ではない。テレビでは大騒ぎだった。翌日も同じプログラムで公演が行われて、この日は満員だったそうだ。
しかし考えてみると録音には良かったのかもしれない。ただでさえ良く響くサントリーホールがこれだけ客が少なければ、残響は普段の2割り増しくらいになるかもしれない。観客は「死んでもいい」と決意してきた人ばかりだから、乗りも違う。
さすがに演奏が終わると、そそくさと席を立つ人も目立ったが、残った人の拍手は楽団員が消えてもまだ鳴り響いていた。これはCD化する値打ちのある演奏だったのではないか。(最もこの曲は誰がやってもそこそこ鳴るので"名演奏"は星の数ほどある)
三楽章のトランペットとワグナーチューバがちょっと危うかったのと、4楽章のホルンが1箇所音をはずした以外は、気がつかなかった。