藤島武二の「婦人と朝顔」という絵が気になる。


展覧会の案内によると、1904年(明治37年)制作で個人蔵となっているが、ウィキペディアには触れられていない。
よく見ると黒目が異常に大きい、右目は正面で左目が外よりのロンパリ、額が狭すぎる、異様なまでの鼻筋の強調、えらが張りすぎ、光の方向が説明できないなど、不自然なところがいくつかある。しかし絵全体で見ると、いかにも和洋混淆、日露戦争頃の雰囲気が漂ってくる。雰囲気で見る絵なのだろう。

藤島はこの頃雑誌「明星」に挿絵を定期的に寄稿していたようである。そうすると、与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」の歌「堺の商家に生まれ…」の一節が、この絵にダブってくる。

この展覧会にはもう1枚、「夢想」という絵が出品されている。



おそらく同じモデルなのではないか。こちらは、よりオーソドックスな技法で描かれているようだが、やや迫力に欠ける。
「夢想」は目をつぶらせただけ、対象化して描けるところがあるが、「朝顔」は「強気の上から目線」に圧倒させられながら、必死に受け止めて描いたという趣だ。

藤島武二という画家、さほどのものとは思えないが、この絵の未完成な迫力は別格だ。