大坂の堺市で起きた集団食中毒は、カイワレ大根が感染源と疑われたが、それは結局証明は出来ずに終わった。風評被害を受けた生産者は国との裁判で勝利した。

しかしカイワレ大根の種子のDNA検索を行ったところ、アメリカ産種子にO157に感染した経歴が発見された。これで種子が原因だとは特定できないが、アメリカ産種子の輸入には慎重に対応するということになった。

これが事件のあらましである。

つまり業者に過失はなく、事件によって生じた損害は、種子の輸入を認可した国が負うべきであるというのが、おそらくは結論となろう。


日本食品衛生協会専務理事 玉木武氏の文章から引用させていただく

平成9年7月、米国において水耕栽培のアルファルファ(貝割れ大根)によるO-157の集団食中毒が発生しました。

その情報を得て、平成7年オレゴン州において生産され、大阪府下の貝割れ大根生産施設で使用されていた種子14袋350kgのうち112kgについて、検査を実施しましたところ、一部の培養液からベロ毒素(VT)遺伝子DNAの検索で、70検体中14検体(20%)から当該遺伝子が検出されました。

また、上記の培養液16検体から、O-157抗原合成遺伝子DNA(4検体)、VT1 遺伝子(4検体)、及びVT2 遺伝子DNA(8検体)が検出されています。
このうち、157及びVTのDNAが検出された4検体について、O-157の増殖性を検索したところ、1検体に増殖性が認められ、当該貝割れ大根の種子がO-157に汚染されていたことが明らかになりました。

また、当該貝割れ大根の種子については、14袋すべてから大腸菌の汚染がみられ、また14袋中9袋からサルモネラ汚染も確認されています。
また、O-157が培養により分離できなかったのは、現在の培養方法ではO-157以外の増殖速度の速い菌が優勢となることが主なる原因と考えられています。

この問題については、乾燥種子においてO-157は増殖することはありませんが、O-157が培養分離されない場合でも菌の付着のおそれがあること、種子の汚染には相当なバラツキがあることから、サンプル検査で菌が検出されないことをもって発芽後の貝割れ大根が、O-157に汚染されていないことを保証するものではないことを行政側は警告しています。


ところで、この種の「行政側の警告」はアメリカの種子会社の利益を損なう可能性があり、FTAが締結されれば提訴されると覚悟しなければなりません。まさに毒素条項です。

なお、当時菅直人厚相が記者を集めてカイワレ大根をパクパクとやったが、あれは生産者に対するエクスキューズではなく、アメリカに対するポーズだと見るべきだろう。

現在のカイワレの安全性について云々するものではないが、堺の食中毒においてカイワレは限りなく黒に近かったのである。