日米構造協議もそうですが、連中の文章は難しい。何を言っているのか分からないところがある。分からないように書いてあるから当然なのですが。

それをどう読むかということになると、さらに難しい。本当にそんなこと書いてあるんですかねぇ、ということにもなる。

そんななかで、「これはまじりっけなしの毒素だ!」というのを紹介する。

第11章 “相手国政府の協定違反等により、投資家に損失が発生した場合、相手国裁判所に提訴するか、または国際仲裁機関への仲裁請求ができる”

つまり韓国政府が商売のルールを破ったと米企業が判断すれば、国際裁判に持ち込むということだ。それ以外には読めない。これをISD条項と呼ぶそうだ。

これが実際に問題になったケースがすでにある。11年6月、たばこパッケージに厳格な規制を設ける豪州政府に対し、米フィリップモリス社が投資協定に反するとして、多額の損害賠償を請求したのである。


愛煙家の私としては、こういう弱いものに難癖をつけるようなやり方は許せない。いまはじっと耐えて、それも旨みのひとつの要素と考えていくしかないのだ。

自分の儲けのために世界の愛煙家を危険にさらすような会社はつぶれるべきだろう。


さらに中野剛志さんは次のような実例を上げている

カナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業 が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この 規制を撤廃せざるを得なくなった。

 また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環 境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823 万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。

 メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。