「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)運動の経過

 むかし、レーニンの創設した新聞が「イスクラ」といって、火花という意味だそうです。「一片の火花がたちまちのうちに燎原の炎となって燃え広がる」とうたった詩があって、これからとったそうです。そんな学生時代を思い出しました。

運動の引き金

7月13日 カナダのエコ・グループがウォール街での平和的なデモ運動を提案する。これにニューヨークの若者グループが合流。

さまざまなレポートを総合すると以下のようになる。
①カナダのバンクーバーにある環境問題を扱う雑誌「アドバスターズ」の編集者カレ・ラースンが、「アラブの春」革命に感動した。
②ラースンが感銘を受けたのは、ツイッターが若者を結び付け運動の発火点になったことである。彼は同じようにツィッターを出発点にした運動を始めようと思い立った。
③ラースンは、この雑誌が持つブログに、「9月17日にウォール街を占領しよう」との呼び掛けを発表した。
④「米国人の上位1%が、下位90%をあわせたものより、さらに多くの所得を上げている」、「銀行家らは景気のよい時は私腹を肥やし、破産寸前に追い込まれると、政府に借金だけ押し付け、国民を失業者に追い込んでいる」などと主張する。

8月23日 ハッカー集団「アノニマス」がこれに賛同し抗議運動への参加を呼びかける。

最初の占拠運動

9月17日 ウォール街占拠行動がはじまり、推定1,000人が集まる。「われわれは99%だ。強欲で腐敗した1%にはもう我慢できない」がメインスローガンとなる。警察は“リバティ・プラザ”でのテント設置の禁止とデモ規制を行う。このため参加者の多くはウォール街の歩道を歩き続ける。

初日のデモで掲げられたプラカードの内容(ウィキペディアによる): ①政府による金融機関救済への批判 ②富裕層への優遇措置への批判 ③「グラス・スティーガル法」の改正による金融規制の強化 ④高頻度取引の規制

9月19日 この日7人が逮捕される。ウィキペディアによれば、ビルに立ち入ろうとした二人が逮捕され、顔が見えないマスクをつけていた4人組が逮捕される。

9月18日 広場で「総会」が開かれる。5時間にわたる討論の後、翌日からウォール街でデモを展開することを決定。

逮捕につながるような行為はせず、ウォール街の通行人を妨害しないなどを議長団が提案。挙手による投票で満場一致で提案を承認。またデモに行く 「アクション班」と、今後の問題を考える「ディスカッション班」に分かれることでも合意。(「総会」に居合わせた津山恵子さんの貴重なレポート)

9月19日 広場に残った青年ら500人がニューヨーク証券取引所前を練り歩く。行動は午前9時半の株式市場 取引開始時と、午後4時の取引終了時の2回。段ボールのプラカードや太鼓・ラッパを持って歩道を歩くだけ。その後この行動が日課として定着する。

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MikSの浅横日記より拝借

9月19日 カレントテレビがデモを取材。以後カレントテレビは連日抗議行動を報道。取材に当たったオルバーマン記者は、「なぜ主なニュース番組でこの抗議運動が取り上げられないのか? もしこれがティーパーティーの運動だったら、主要メディアは毎日トップで取り上げているだろう」と批判した。

9月19日 オバマ大統領、今後 10年で約3兆ドルの財政赤字を削減する計画を発表。その約半分を「ブッシュ減税」の廃止など、高所得の個人や企業に対する増税でまかなう計画。

9月22日 黒人人権運動のグループによる2千人のデモがウォール街占拠運動に合流。このとき行進参加者2人が逮捕される。

9月23日 ガーディアン紙やニューヨーク・タイムスが占拠運動を批判的に紹介。警察はリバティスクエア(正式にはズコッティ公園)の「占拠」については基本的に不介入の姿勢 をとる。(世間の注目と共感の高まりがリバティスクエアを支え守っているのは確かだと思います、とのコメントあり)

9月23日 「シカゴを占拠せよ」と呼びかけた連日デモが始まる。

9月23日 米Yahoo!、抗議行動のサイト名(occupywallst.org)をふくむメイルをブロッキング。ヤフーは事実を認めたうえで、スパムフィルターの誤動作によるものだとし謝罪。

最初の衝突 80名が逮捕

9月24日 週末に合わせ全米から参加者が結集。警察は「住宅地区への行進でいくつかの通りが混乱した」ことを理由に大量逮捕に乗り出す。この取締りで少なくとも80人が逮捕された。

9月24日 弾圧の模様がインターネット上でアップロードされ、「若い女性が警察官に催涙スプレーをかけられる」場面が注目を集める。

9月24日 津山さんのレポートによれば、1000人あまりの新手の参加者が自発的にデモ行進を敢行。このデモ隊がニューヨーク市警と衝突し、100人近い逮捕者が出たという経過のようだ。

「一網打尽」方式: 現場にいたスペイン人のマリウスさん(19)によると、警察は何もしていない女性2人に催涙ガスを使用し、動揺した通行人も含む90人あまりが、警察が 広げた赤い網の中に囲い込まれ、逮捕された。警察は、逮捕者を運ぶ車両が足りないため、通りかかったニューヨーク都市交通局のバスを止め、全員を警察署まで運んだという。

9月25日 「アノニマス」がYOUTUBEに動画をアップロード。警察に対し「36時間以内に残虐行為があれば、ニューヨーク市警をインターネット上から消去する」との“脅迫”を発表する。

9月26日 占拠運動、催涙スプレー事件の当該警察官の収監と警察委員長の辞任を要求。この日の夕方、映画監督のマイケル・ムーアがリバティ・プラザで演説を行う。またチョムスキーが運動を強く支持するとのメッセージを発表。(マイケル・ムーアは2009年製作の『キャピタリズム:マネーは踊る』の終場面、ウォール街を包囲するといって単身で金融機関のビルに突進する)