2009年

3.05 マレーシアのアブドラ・バダウィ首相、南沙諸島のラヤンラヤン島を訪問。同地の主権がマレーシアにあることをアピール。夫人と陸軍司令、海軍司令が同行する。マレーシアの華字紙・中国報は、バダウィ首相の行動によって中国が実力行使に踏み切る可能性があると警告する。

3.08 米国の「音響測定艦」インペカブル(Impeccable)号、南シナ海の公海で中国艦船に包囲され航路を妨害される。(音響測定艦とは潜水艦の探知機能を備えた船のこと。インペカブルは最新型。横浜港に配備されている)

3.10 護衛艇「Yuzheng 311」号(4450t)が、「海域内での警備を強化するため」派遣される。漁政局は、「今後3~5年間でさらに護衛艇の数を増やす」と語る。

4月 南シナ海で米海軍艦艇を中国情報艦と4隻の船舶が追尾。中国は「排他的経済水域で活動し、国際法に違反」と非難する。

 

2010年 中国の大規模軍事進出と米越接近

3月 中国政府、南シナ海を「核心的利害」地域と見なしていると表明。

中国はこれまでチベット、新疆ウイグル自治区、台湾の3地域を核心利害地域とし、一切の譲歩や妥協を拒否してきたが、ここに南シナ海を追加した。 

6月 インドネシア領ナトゥナ諸島沖合で、インドネシア海軍が中国漁船を拿捕。中国は漁業監視船(311号のことか?)を急行させ、「漁船を解放しなければ攻撃する」と威嚇。インドネシア海軍は漁船を解放する。

主観的な用語をまじえた記載で、裏取りしていない報道だが、インドネシアが絡んでいる話なので一応載せておきます。

7月23日 クリントン米国務長官がARF(ASEAN地域フォーラム)の閣僚会議出席のためハノイを訪問。「(アメリカは)南シナ海での航行の自由、国際法の尊重に国家的利益を有する」と発言。航行権をたてに、南シナ海への関与姿勢を打ち出す。

7月26日 楊外相、クリントン発言は「南シナ海の状況が深刻な懸念材料であるとの誤った印象を与える」と非難。「紛争当事者(ベトナムのこと)がASEANメンバーであるという理由で中国対ASEAN全体との紛争と見なされるべきではない」と主張する。

7月30日 中国軍、南シナ海で大規模な軍事演習。北海、東海、南海の3艦隊からなる「多兵種協同」の実弾演習。陳炳徳総参謀長(中国中央軍事委員会員)は「情勢と変化の変化を注視し、軍事闘争への準備をしっかり行わなければならない」と指示する。

9.15 フィリピン国軍、南沙諸島のティツ島など9島のふ頭や、老朽化した滑走路を改修すると発表。

9.20 第7艦隊のランドルト揚陸部隊司令官、「中国は南シナ海で自由航行を脅かす態度を取っている。アジア・太平洋地域でアメリカ軍のプレゼンスを維持することが重要だ」と述べる。

9.21 姜瑜報道官、南沙諸島や周辺海域について「疑いなき主権」を有しているとしつつ、当事国間の友好的な協議による平和的解決を主張する。

姜瑜報道官(44)は北京で生まれ育ち、中国外交官の揺りかごである外交学院を卒業。英語に精通する。02年から駐香港特派員公署の報道官となり、05年に外交部新聞司参贊として北京へ帰任し、翌06年3月から新聞司副司長となった。香港で姜瑜報道官をよく知る記者は、「若くきれいで、親切でフレンドリー。言葉遣いや立ち居振る舞いがとても適切」と彼女を評価する。(人民網日本語版」2009年3月30日)

10.08 ベトナム中部のダナン沖で、米国海軍とベトナム海軍が捜索救難などの合同訓練を実施。横須賀基地配備の米原子力空母ジョージ・ワシントンが参加する。

10月12日 ハノイでASEAN拡大国防相会議が開かれる。ベトナムのフン・クアン・タイン国防相とゲーツ米国防長官が個別会談。ゲーツ米国防長官は「実力行使なしに、外交を通じ国際法に沿って解決されるべきだ」とし、多国間協議による解決を主張。

10.12 中国の梁光烈国防相は米越会談について沈黙を守る。

 

2011年 ベトナムの巻き返しと緊張激化

2月24日 中国海軍が南沙諸島で海賊対策の演習を実施。

3月6日 羅援少将が朝日新聞とインタビュー。南シナ海では他国によってすでに数百のガス田が開発されているが、中国は一つも持っていない。中国は主権を明確にし何らかの行動に移すべきだ。すみやかに境界線を確定しなければならない。

4月1日 ベトナムのグエン・ミン・チェット大統領、二つの駆逐艦とともに、ハイフォンと中国の海南島の間の島を訪問。「われわれの領土、海、そして島を、いかなる者にも侵害させない」と宣言。

4月8日 南沙諸島に到着した中国のパトロール船がベトナム船60隻に包囲される。

4月28日 マレーシアのムヒディン・ヤシン副首相、中国の李克強副首相と会談。南シナ海における平和と安全の維持を優先し、あくまで外交的な取り決めを通じて解決することで合意。

4月30日 温家宝首相、「領土主権や領海の問題が存在するが、2国間で適切に解決しなければならない。中国は領有権問題で騒ぎを広げたり、緊張を高めることには同意しない。問題を一層複雑にするだけだ」

5.03 ASEAN議長国インドネシアのマルティ外相、宣言署名から来年で10年を迎えることについて「あまりにも時間がかかりすぎた」と振り返り、「南シナ海が分断ではなく団結の海となるよう、年内に区切りを付けるべきだ」と強調した。

5月10日 中国政府・外交部の姜瑜報道官、「いかなる国家も、南沙諸島について一方的に行動すれば、中国の主権の侵犯となる」と警告。さらにベトナムが「南シナ海各方面行動宣言」の精神に反していると非難。「南シナ海各方面行動宣言」は中国と東南アジア諸国連合諸国間の合意文書。

5.19 ASEAN国防相会議、「航行の自由」や「上空の飛行の自由」の重要性の再確認などを盛り込んだ共同宣言を採択。

5月21日 梁光烈国防相が比を訪問、南沙問題について比側と平和的解決を目指す考えで一致。

5月26日 ベトナムの石油探査船の調査用ケーブルが、中国監視船3隻によって切断される。事件が起きた海域はベトナム国営石油会社ペトロベトナムの石油・天然ガス開発鉱区だった。

5.29 ベトナム外務省が緊急記者会見。「ベトナムの排他的経済水域(EEZ)および大陸棚での通常の調査を妨げる行為で、重大な主権侵害だ」と非難する。さらに、「ベトナムの和平や独立、領土の保全などを確実に守るため、ベトナム海軍はあらゆる手を尽くす」と述べる。これに対し中国側は、「探査船が中国領海に侵入したための正常な監視活動」などと一蹴した。

5.31 南沙諸島沖合で中国監視船3隻が操業中のベトナム漁船4隻に接近し、海面に向け自動小銃を発砲。

6.01 フィリピン外務省、南沙諸島周辺で中国の海洋調査船などが「領海を侵犯し、鉄柱やブイの設置を始めた」と発表。「ASEANと中国との合意違反」と厳しく批判。

6.03 シンガポールでアジア安全保障会議。日米を含む30カ国以上の国防・防衛閣僚が出席。中国の梁光烈国防相は「中国の軍事力近代化は防衛の範囲内だ。南シナ海の状況は安定している」などと述べた。ゲーツ米国防長官はアジア太平洋地域における米軍のプレゼンスを継続すると述べる。

6月05 ハノイの中国大使館前で市民や学生ら約300人が「中国は侵略をやめろ」などと抗議デモ。ホーチミンでも千人以上が中心部で反中デモ行進。

 

参考サイト

http://www5c.biglobe.ne.jp/~vdg/book_islandsdispute.html

南シナ海の領土紛争 パラセルとスプラトリーをめぐる複雑な問題を解く

このページが両諸島の歴史について詳しく解説している。比較的中立的な記述である。多くのサイトが断りなしに引用しているが、おそらくこのページがオリジンだと思う。