静岡大学名誉教授の安藤さんが「税金から見えてくる民主主義」と題して戦後税制について語っています。
私たち「団塊の世代」は戦後民主主義の教育を受けて成長してきました。
学校時代に習った戦後民主化の柱は、①新憲法・軍備解体、②財閥解体、③農地解放 でした。これにより戦前の日本を支えた三本柱が弱体化し、民主主義発展への実質的な保障となったのです。
これに比べると税制改革はそれほど重大な課題ではありませんが、新政府を財政的に支える柱をどこに置くかという点では大きな意味を持つ改革だったと思います。
しかし税制改革について講義を受けた憶えはあまりないのです。恥ずかしながら今回の記事は初耳が結構多かったです。
たぶんネットには掲載されないと思うので紹介します。

1.シャウプ使節団
*1949年、占領軍司令官マッカーサー元帥は、税制面において天皇制から民主制への転換をはかるため、本国に調査団派遣を要請した。
*この要請を受けカール・シャウプ(コロンビア大学教授)を団長とする税制使節団が派遣された。
*シャウプ使節団は日本の民主化を目的とする税制改革案を提出した。

2.シャウプ勧告の基本思想
*使節団は、財閥による経済支配が、日本軍国主義の土台になったと見た。
*財閥を復活させない、特定のグループに膨大な富を蓄積させない。

3.シャウプ勧告の柱
*所得税など直接税中心の税制の確立
*取引高税という大型間接税を廃止
*地方自治を支えるため自治体の独自財源を確保

4.所得税のあり方
*個人所得税は利子や配当などの金融所得も総合して課税
*定率課税ではなく、所得が高いほど税率も上がる累進課税制度
*資産に対しても課税する富裕税の新設

5.直接税中心主義
*直接税は意識して支払う税金だから、国民は税金の使い道にまで関心を抱くようになる。
*間接税は、税金を払うという意識が薄いから、政府は国民から遠い存在になる。
*直接税は応能負担の公平な税なのに対し、間接税は大衆負担の税である。