これがネタ本のようだ。それにしてもこんな文章が日本を代表する銀行の情勢評価の基礎になってしまうんですね。

アジ研のレポートで題名は「ベネズエラ: ボリーバル革命に立ち込める暗雲」筆者は坂口安紀さんという人である。

コピペ禁のため、箇条書きにして紹介する。

1.ヘテロドックス政策とマクロ経済のゆがみ累積

*インフレ率が年間30%。5年間の累積は174%。

*1ドル2.15ボリバルの固定相場が維持される。この分が通貨の過大評価につながる。

*2010年5月、通貨の50%切り下げ。しかしペルムータ・レートと呼ばれるセカンダリー市場の相場は5~6ボリーバルで推移。

*政府はペルムータ市場におけるドル建て債券の増発によりレートの引き下げを図った。しかし発行高が僅少なためレートはさらに上昇し、現在は7ボリーバルを越えている。

2.生産活動の停滞

*生産活動は08年前半まで好調だったが、リーマンショックの後停滞。09年はマイナス3.3%に落ち込んだ。

*問題は10年に入っても生産活動の活発化が見られないことである。ラテンアメリカのほとんどの国が再成長を開始し、石油価格も70ドル台を維持しているにもかかわらず、再成長の動きが見られないことは事態の深刻さを示している

ここで坂口さんは4つの要因を指摘している。

①食料・基礎生活財におけるコストを無視した価格統制が企業の生産意欲を阻害している。

②企業や不動産の接収が加速し、企業の投資意欲を阻害している。

③外貨不足による原材料の確保困難。

④電力不足による生産制限。(アルミ精錬、製鉄などの国営企業は40%節減)

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「上記を鑑みると、ベネズエラがマイナス成長から抜け出せない理由は、チャベス政権のもたらした経済の構造的ゆがみが原因であったと考えるのが妥当であろう」

①、②については事実関係があいまいで、原因と結果の結びつけは恣意的である。

③については検討が必要。

④については需要の拡大に基づく相対的なものなら、ここに入れるのは間違いだ。東南アジアでは日常茶飯事だ。

ということで、のっけから「郵便ポストが赤いのもみんなあなたが悪いのよ」とばかりのけんか腰、学術研究としてはきわめて下品で“ヘタレドックス”である。

3.汚職の蔓延とボリブルの台頭

この問題は必ず出てくると思ったが、やはりだ。明治維新後の政商たちの跋扈と同じだ。

*09年11月、11の新興銀行が不正取引の疑いで手入れを食らい、社長が逮捕され、接収された。最大のスキャンダルはチャコン科学技術大臣の弟が逮捕されたことである。

*反革命ゼネストを闘い、チャベスの盟友だったリカルド・フェルナンデスも逮捕された。彼は駐車場の管理人からのし上がり、複数の銀行を含む数十の企業のオーナーとなっていた。

4.人権抑圧の拡大

ここまでくると、「坂口さん何しに行ったの?」ということになる。

*「世論調査ではチャベスに不信感を持つ人が70%に達し、支持率も44%に落ちている」と書いている。

出所はクーデターの片棒を担いだあの「エル・ウニベルサール」だ。カラカスのホテルで遊んでいたのか。ウニベルサールの「世論調査」がどんな結果を出すのかくらい、札幌に居ても分かる。

*政治犯の数はキューバに次いで2番目に多い国となってる。チャベスと違う意見を持つこと自体が犯罪扱いされている。…新聞でも「恐怖政治」などの言葉が飛び交うようになった。

これも反動紙エル・ナシオナールの記事だ。この後も「自由と人権侵害」に関する記述が延々と続く。そして「これはまともな人ではないな。職業売文家だな」と、坂口さんに対する目はますます醒めてゆく。

*治安状況はますます悪化している。その原因としてはチャベス大統領自らの富裕層への攻撃的レトリックや土地不法侵入の容認姿勢が、富めるものへの強奪行為に対するモラル的ハードルを下げているように思われる。

この人は女性でカラカス在住、文章をアジ研に送って給料をもらっている身分のようです。むかしゼネストの頃、カラカスの高級住宅街に住んでいて、そこに住む「庶民」の反チャベス活動をせっせと送っていた商社員の妻が居ました。今そのことを思い出しています。ただあの人には悪気はなかった…