(23)軍靴の響き (Taquito Militar)

HP: 最悪の録音で、音はひしゃげて高音部はまったく聞こえません。それでも打楽器のリズムには度肝を抜かれます。ペレス・プラードがこのようにコンガを叩いても、別になんとも思いませんが、タンゴのレコードからこのような音が飛び出してくることにはびっくりするしかありません。

これはフランチーニ・ポンティエルリ楽団の演奏を指しています。要するに推薦に値するほどの音源がなかったということです。

TAQUITO MILITAR

これが大変な名演です。ルジェロ兄弟というのでしょうか、初耳ですが、とにかくピアノがうまい、バイオリンも良い、とにかく素晴らしい。ブラーヴォ!です。ポルテーニョはこの曲が大好き、ということが良く分かります。

Taquito Militar-Mariano Mores

これがマリアーノ・モレスのオリジナル盤です。正直、どうっていうことはない演奏です。モレスは演奏者というより作曲家なのでしょう。

後は番外シリーズ

Bandoneon Historia del Tango " Taquito Militar" Mariano Mores

映画の一場面ですが、大変素晴らしいものです。音質がどうこう、演奏がどうこうというものではなく、ただ映像として素晴らしい。マリアノ・モレス楽団はよほどの役者ぞろいです。

Horacio Salgan y Ubaldo De Lio.Taquito Militar.

これは番外。アンコールピースだったのか、短くて曲の形になっていない。しかしオラシオ・サルガンというのが、ジャズの語法をとり入れた感性の高いピアノ弾きだということが分かる。

Taquito militar

これも摩訶不思議な映像。太目のおばさんがいかにも素人っぽく体をくねらしながら歌う。しかも盗み撮りでカメラが揺れる。見ているほうが恥ずかしくなるぐらい下品だが、歌は半端でなくうまい。Victoriangeles canta y baila "Taquito militar"  en el Teatro Lope de Vega de Pilar, Prov. de Buenos Aires とクレジットがあるがそれ以上は不明。謎のおばさんである。

taquito militar (milonga) de Mariano Mores

これも謎の演奏。乗りが何なのか、居心地が悪いが乗りはよい。裏打ちなのか表打ちなのか、ボサノバにもサルサにも聞こえるが、何かといわれるとミロンガだ。映像はセクシーだ。このコンビの演奏は他にもあるが、ほぼ同じ趣向。なかでもはPor Una Cabeza(首の差)というガルデルの曲が良い。(後で出てきます)

Arturo Nieto-Dorantes

クラシック畑のピアニストがコンサートをやって、おそらくはアンコールでこの曲を弾いているようだ。講釈が長い。チョッとルバートをかけるだけで、ミロンガがアバネーラに早代わり、アルベニスの一曲を聞いたような気分。

(24)さらば草原よ (Adios Pampa Mia)

HPより: 大草原を渡るそよ風を感じさせる、なんとも気分の良い曲です。

カナロは,「オルケスタ(オーケストラ)」という10人程度の楽団によって演奏させることで,タンゴの楽曲としての 厚みを増すことに成功した。これをよりシンフォニックかつ大編成にしたものは,後に「コンチネンタル・タンゴ」として分かれていくことになるが,あくまで もカナロの音楽は,歯切れの良い鋭さを失わなかった(石川さんの解説より)。

Adiós, pampa mía (Francisco Canaro y su orquesta típica)

これがその演奏です。歌はアルベルト・アレナス。45年の録音といいますが、すばらしい音です。この頃は日本の数歩先を行っています。

adios pampa mia

同じカナロですが、こちらはネリ・オマールが歌っています。録音はちょっと古いかもしれませんが、演奏は甲乙つけがたいものがあります。

Libertad Lamarque "Adiós pampa mía"

これは名唱です。その声の伸びはパンパをわたる風のようです。映画のサウンドトラックからのものですが、音質も良好です。

年取ってからの歌もウpされていますが、「風とともに去りぬ」です。同じような映像で、アルベルト・カスティージョのものもありますが、絶対に見ないように。耳が腐ります。

ADIOS PAMPA MIA VIRGINIA LUQUE

歌のタンゴですから、いろんな歌手が取り上げています。中では音が良い分、この演奏でしょうか。しかし少々味付け過剰でもたれます。日本人向けではないでしょう

ADIOS PAMPA MIA

YOUTUBEの怖いのは、上から300番目くらいの順番でとんでもない演奏が出てくることです。これもそのひとつ。GRACIELA REYという歌手がピアノの伴奏で歌っていますが、美声です。最後にチョッと乱れますが、ライブ録音のようです。

Carlos Di Sarli & Mercedes Simone INÉDITO Adiós Pampa Mía


これも顔ぶれからいえば外せません。ただメルセデス・シモーネの声は朗々とした歌唱には向いていないようです。

この曲はヨーロッパ系の楽団がずいぶん取り上げています。アルフレッド・ハウゼ、スタンリー・ブラック、マランドなどいずれも水準以上のものですが、違う曲のようです。