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富(ブルジョア的富)は交換価値である。それは交換価値と使用価値とを媒介する特殊な交換価値である。(この時点では未だ「価値」という概念は形成されていない)
資本の内部では資本のある形態 がふたたび使用価値の地位を占め、交換価値としてのほかの形態 に対峙する。たとえば産業資本は、流通として現れる商人に対しては、生産者として対峙する。こうして産業資本は素材面を表し、商人は富の形態面(価値)を表す。
その際、商業の内部では卸売商人、さらに商品仲買人など高次の媒介者が出現するが、それらと現場の商人との関係も、使用価値対価値の対峙関係が適用される。
高次の対峙関係となればなるほど、価値は「明確かつ広範に、自分を表す」ようになる。商業界の最高の地位にいる手形仲買人や銀行家にとっては、資本とは価値の一部を投下して、もろもろの産業から剰余価値を創出する手段に過ぎなくなる。