以前、アルゼンチンの経験から見て、このままではギリシャはデフォールトとユーロ圏からの脱落しかないと書いた。(7月24日、7月26日)
その後、欧州共同債を提唱するスティグリッツの意見を紹介した。(8月18日)
問題は、ギリシャのデフォールトを容認するかどうか、その波及効果にEUが耐えられるかどうかということだ。逆にもしギリシャを守るのなら、ギリシャを守りきれるのかどうかということもはっきりさせなければならない。
もちろんEUの理想としての各国の連帯という思想も大事な視点であるし、ギリシャを見放したことでユーロへの評価が上がるのか下がるのかの見極めもある。
さらに根本的な問題は、ことはギリシャ問題なのではなく、EUとユーロ・システムの破壊に攻撃の真の狙いがあるということである。ギリシャはそのための前哨戦にしか過ぎない。

ところがここに来て、EUの盟主たるべきドイツが揺れている。欧州中銀(ECB)はギリシャよりもイタリアとスペインを重視し、220億ユーロをつぎ込んだ。考えようによってはここだけは守ろうという判断にもとれる。
しかしドイツのウルフ大統領がこれに噛み付いた。「(欧州中銀の対応は)欧州連合の機能に関する条約に違反し、欧州中銀の独立性を損なう」ものだと批判したのである。これはドイツ国民のあいだに根強い被害者意識の現われだろう。
これに対してポーランドがEU議長国の立場から批判を加えた。「ドイツのような主要国が危機への対応を間違えれば、欧州は崩壊する」と批判というより悲鳴に近い発言だ。

片岡記者によれば、欧州財政危機は、いまやEU対投機資本の一騎打ちの様相を呈している。これまでEU、IMF、ECBが相当のてこ入れをしてきたが、投機資本の売り浴びせ攻撃は収まっていないという。
結局、アメリカの量的緩和(QE2)でジャブジャブになったドルが押し寄せているわけだから、ただならぬ闘いになることは間違いない。

もしEUがこの闘いに勝つことができるとするなら、それは欧州共同債しかない。
現在は欧州金融安定基金(EFSF)が組織され、各国の拠出額が5千億ユーロ近くまで積み上げられているが、未だ額が少ないことと、国債買い取り機能がないことから十分に役割を発揮しているとはいいがたい。
当面はこの安定基金の役割の拡充を目指すことになるが、それでも情勢打開の可能性は低いと見られる。
となれば、残された道は各国債のユーロ債への一本化しかない、というのが共同債の発想である。

いま一度、スティグリッツの言葉を引用しておこう。
「思うにEUは公平な経済成長を回復するためには連帯基金を創設すべきだ。もし現状で連帯基金の創設が不可能なら、ヨーロッパが考えるべきオプションのひとつは諸国家をまたがる債務再構築だ」

各国首脳にはこのような共通認識が形成されつつあるが、未だ国民全体の認識には温度差がある。
いずれにしても時間勝負であるから、毎日の動きには眼が離せない。