厚労省の雇用実態調査。なんと「就業形態の多様化に関する総合実態調査」と題されている。
就業形態の多様化などではない。雇用条件の劣悪化そのものだ。良い方向での多様化など一つもない。

調査方法の問題
まず調査の信頼度であるが、総合実態調査とは言うものの、抽出調査であり、しかも回答率は低い。対象事業所は従業員5人以上の1万7千件、対象従業員は5万1千人である。有効回答率はそれぞれ62%、65%に留まっている。
実態を正確には反映していない可能性があり、実態はさらに悪いと思われる。

調査結果
*全労働者のうち、パートタイムや契約社員など非正社員の割合は39%だった。
*非正社員の割合は87年の調査開始以来、一貫して上昇を続けている。
*非正社員の内訳は、パートタイムが23%、契約社員が4%、嘱託社員が2%、派遣労働者が3%となっている。
*派遣労働者は前年度から1.7%減少した。これはリーマンショック後の雇い止めの影響と考えられる。

考察
1.「就業形態の多様化」の実態は、結局非正社員の増加である。それは調査そのものが明らかにしている。「非正社員を雇う理由」の圧倒的トップは「賃金の節約」である(44%)。これが雇用条件の劣悪化でなくして何というのか。
2.派遣労働者が1.7%も減っている。3人に1人が首を切られたことになる。
派遣労働者が他の就業形態に移行した可能性は低い。移行可能な就業形態はパートタイムだが、その増加率は派遣労働者の減少率を吸収していない。
従業員4人以下の零細に流れたか、失業者の群れに加わった可能性が高い。
すなわちこの調査の枠外で、巨大な雇用の変化が生まれていることになる。
3.派遣労働者の著名な減少にもかかわらず、非正社員全体の数はそれを上回って増加している。
あらたに膨大な数の非正労働者が誕生したことになる。この国はどこに向かって漂流していくのだろうか。