財務省が発表した円高緊急対策。中身がひどい。
1.円換算80兆円の外為特別会計の外貨資産を活用し日本企業による海外企業の合併・買収(M&A)を支援する。
2.このため1年間の時限つきで最大1千億ドルの融資枠を創設する。
3.“円高で打撃を受ける中小企業”を支援するため、海外進出のための資金供与も行う。
何のことはない円高を口実にした大企業奉仕ではないか。中小企業といっても大企業の関連・下請け企業を海外に連れ出す費用を負担させるだけではないか。

中小企業支援というが、彼らが海外に進出すれば、産業は空洞化する。雇用はますます厳しくなる。
これは私たちが言っていることではない。まさに経団連の脅し文句そのままだ。経団連はそれを防ぐために税を軽減せよと主張している。

たしかに、最近の急激な円高の最大の理由は、アメリカとヨーロッパの先行き不透明感から来る「雨宿り」現象だ。しかし120円からの連続する円高傾向はそれでは説明できない。それはデフレ円高に他ならない。給料が下がって、消費が低迷し、物価がそれにつれて下がるという連鎖の中で、見かけ上、円の価値が増大したのだ。

雇用の改善、労働条件の改善につながる対策、少なくともそれらをさらに悪化させることのないようにするのが真の対策だ。そうでなければ、それは巡り巡って円高をさらに昂進させる結果となるだろう。