8月12日から仏、伊、西、伯の4カ国株式市場で空売り規制の強化が始まった。ドイツはすでに昨年から規制を開始しており、今回の一斉規制開始の旗振りを務めていた。
ドイツの財務当局は「欧州での幅広い空売り禁止が破壊的な投機に立ち向かう唯一の方法だ」と強調したという。
欧州委員会も規制に動いており、9月には成案が発表される予定だ。流れから言えば、年内にはEU全体で空売り規制が実施されることになるだろう。


しどろもどろの感想

「唯一の道」は少々大げさだが、たしかに米英を先頭とするネオリベ主義者と金融資本にとっては大きな打撃となるだろう。しかし投機資本は抜け道を探してくるだろう。

資本流通の自由化を最大の柱とするネオリベラリズムは、同時に情報化社会の発展と軌を一にして世界を席巻した。コンピュータを用いた大量の金の瞬時のやり取りにより資本回転が加速し、通貨の発行量の数十倍の流通がもたらされることになった。いわば金融全体のFX化が進行した。
しかしこの情報革命は英語を世界語として進んだから、英語を母語とする社会とそれ以外の社会のあいだに著しい情報格差を生じた。この格差が富の著しい不均等をもたらしている。

しかし、これは政策により是正可能な格差である。空売り禁止も一文の金も要らない。法律さえもいらない。もともとが犯罪行為なのだから、政府が証券取引所に「今後は商法・証券取引法を厳密に適応しますよ」と行政指導すればよいだけでだ。
スティグリッツはまさにこの点を強調している。アメリカは米英契約法の薄衣をまとった裸の王様なのだ。「ドル本位制」は、金本位制を標榜したブレトン・ウッズ体制が死んだ後の亡霊に過ぎないのだ。