先日、共産党の赤嶺議員が次のような質問をしていた。

普天間基地のCH53Dヘリが沖縄国際大学に墜落した事件のあと、日米両国政府が「ヘリは緊急の際にもオートローテーションによって飛行場内に帰還でき る」とし、飛行経路を変えなかったことを指摘。「オートローテーション機能さえ持たないオスプレイが墜落する危険がある」と批判…

そのときはさほど気にとめなかったが、上記見出しの記事があり、何気なく読んで驚いた。
中身が結構マニアックですごい、さすがは「榎本記者」の署名入り記事だけのことはある。ただし予備知識なしには少々分かりづらい。



オートローテーションというのはヘリのエンジンが止まったとき、斜めに落ちていくとその力でローターがまわりいくばくかの浮力を受けることができ、時間稼ぎ、あわよくば軟着陸ができるという仕掛けのことのようです。

ウィキペディア(10 ヘリの飛行特性)によると、機体の降下によって生まれる空気の流れからメインローターの回転力を得る飛行方法であり、ヘリコプターパイロットにとって操縦に必須の技術とされているそうです。
ただし前進速度や高度が不足している場合は、オートローテーションに移行する前に墜 落してしまうことになるようで、それらがどれくらいであれば可能なのかが機種ごとに問題となります。

オスプレイにもその機能がついているという触れ込みですが、これが相当の眉唾で、実際にはついていないに等しいということをタイム誌が暴露したわけです。この記事は相当前の話で、なぜ今頃議会で迫っているのかという事情がもうひとつ分かりませんが、勉強不足で申し訳ありません。

しかし答弁で北沢防衛相が「オートローテーションの機能は十分にある」と開き直り答弁したことから議論が紛糾しているようです。

米軍当局は、緊急時は固定翼モードで着陸することを前提としています。だから「オートローテーションができないから危険だ」ということにはならないと答弁しているのです。
オスプレイのパイロットは、たしかにオートローテーションの訓練を受けています。しかしそれはシミュレータ訓練であり、実地訓練は禁止されているのです。
なぜか、
ヘリモードでローターが止まった場合、固定翼機モードに切り替えなければなりませんが、この切り替えには12秒かかり、機体はその間に500メートル低下します。ヘリモードは通常は比較的低空で操作されるモードですから、このような危険を伴う訓練が許されるはずはありません。(これらの記述はオスプレイの元主席分析官レックス・リボロの09年6月議会公聴会での証言による)

タイム誌の記事はここで読める。V-22 Osprey: A Flying Shame, Sept. 26, 2007