6月にペルー大統領選挙の結果を報告した。左派のオジャンタ・ウマラ候補が、右派のフジモリ候補を僅差で破り勝利した。そのとき好景気にもかかわらず左派候補が勝利したのはなぜか、という答えとして、これはオジャンタ・ウマラの勝利というよりは南米諸国連合(UNASUR)の勝利と呼ぶべきだろうと書いた。
ペルー大統領選の勝者はUNASUR

ピンと来なかった人もいるかもしれないが、本日の赤旗で、この十年間のUNASUR諸国の前進を示す記事が掲載されたので紹介する。

国連の中南米・カリブ経済委員会(ECLAC)が南米諸国の経済社会状況に関する調査結果を発表した。
これによると、
①失業率は03年の13.4%から10年の7.9%に減少した。減少率は41%ということになる。
②10年の貧困層の割合は31.7%、極貧層の割合は13.1%となった。(これでもひどいが、90年以降では最低の水準とされる)
③ジニ係数は過去10年間で9%低下した。(ものすごい低下率だが、これでも南米は世界一所得格差が大きい地域だとされる)

私のコメントだが、①,②を合わせ読むと、貧困・極貧層でも仕事はあるということが分かる。それなりに安定した生活を送る貧困者ということになる。
また②,③を合わせ読むと、相対的貧困率はこれよりも低く、生活実感としての窮乏感は数字以上に改善していると思われる。
貧困・極貧の規定はドル換算で行われているから、現地平価が為替相場で過小評価されている可能性もある。

ECLACは更なる格差解消に向けて、直接税に支えられたより累進的な徴税構造を確立すべきだと提言している。これについては以前のブログを参照していただきたい。
ラテンアメリカ諸国の財政状況: とくに歳入部門
累進税率アップが増税の本道

これがUNASURの実績だとすれば、それに背を向けて対米従属と大企業優遇の経済政策を続けてきたペルーでも、路線転換を求める声が高まることは自然の流れだろう。