南沙諸島(スプラトリー)に関する中国の主張には道理がない。「疑いもなく固有の領土だ」とするが、疑いは大ありだ。
これらの島は歴史的には無住・無有の地である。初めて領有を主張したのは日本であり、第二次大戦前にこの地を占領し、台湾に帰属せしめた。しかしこれは帝国主義的侵略とみなされ、サ条約により最終的に放棄したとみなされた。それ以降はふたたび無住・無有の地に戻ったと見るのが妥当である。
中国の主張は、フォルクロアの寄せ集めであり、同様の話はベトナム側にもいくらでもあるだろう。
本音は、台湾に帰属した過去の経過から、その領有権を中華民国が引き継ぎ、その正当な後継者である中華人民共和国が引き継いだということに基づいているのではないか。(中国自身はその話題は回避しているが…)
だとすれば、これはサ条約の枠外の話ということになり、元来が無住・無有の地であった南沙諸島は現在もなお日本の領土と考えてもおかしくはない。台湾は大日本帝国の行政単位の一つでしかなかったからである。
南沙諸島は、隣接するいずれの国から見ても12海里の領海内に付属する島嶼とはいえない位置にある。(一部はベトナムに近接しているが)
経済水域は交叉しているが、中国の主張を退ける以上、ベトナムやフィリピンの領有権も否定されるべきだろう。すなわち基本的には現在も無住・無有の地と判断するのが妥当であろう。

これを前提とした上で、資源開発の問題がでてくる。ここで「無有の地」という原則を出発点とすれば、話し合いは二国間協議で済ますわけには行かない。何らかの国際機関が形式上の領有者となり、関係国の合議制で話を詰めていくしかない。
もうひとつの問題、開発主体についても、開かれた入札制度の下で国際的なコンソーシアムが編成されなければならない。利益の分配も、出資比率だけではなく各国が平等に恩恵を受ける形で合意される必要がある。たとえば不測の事故により周辺国に影響が及んだときのことなどを考えると、この原則は守っていく必要がある。

大事なことは、何よりも南シナ海を平和の海にすることである。中国の一方的な武力展開は、周辺諸国の警戒を招き、逆の強硬派をはびこらせることとなる。これが続けばASEAN諸国政府の対中国政策の柔軟性は大きく損なわれる。
最も警戒すべきは、この地域におけるアメリカ帝国主義の再進出である。中国の手法は客観的にはその呼び水となっているとも言える。
南沙諸島周辺から武力を一掃することがもっとも肝要である。保安活動は国際機関の責任においてなすべきであろう。

さらに一言、余分なことかもしれないが、これらの問題が解決するまでは地下資源の探査は停止したほうが良いのではないか。欲得づくの話がでてくると大変ややこしくなる。
中東並みの規模の資源が眠っているとでもいうなら話は別だが、「良い夢を見たね」と済ませられるものならそれが一番良い。むしろ観光開発にでも力を注いだほうが、はるかに金になりそうな気もする。