バスティア「経済的調和」

*近代経済学はぺティとボアギュベールに始まる。そしてリカードゥとシスモンディに終わる。JSミルは諸説を折衷し融合して作った概論物に過ぎない。
そのなかでアメリカ人ケアリとフランス人バスティアは例外をなしている。
*アメリカはブルジョア社会が、封建制度の土台なしにそれ自身で始まった国である。そこでは、ブルジョア社会の諸矛盾それ自身が消滅していく契機としてだけしか現れていない。
*バスティアは遅れたフランスにあって、イギリスを観察していた。そして「イギリスにおいては経済学に属する多くの事柄がフランスでは社会主義とみなされる」状態を嘆いている。
*現実の歴史の中では、賃労働は共同所有の崩壊から生じる。それが「労働の全社会的定在」となるのは、身分制、賦役と現物収入が没落することによってである。したがって賃労働は労働を固定し報酬を固定させている諸関係の破壊・解体として現れる。したがって、歴史的には非固定性が賃金制度の性格なのである。
*賃労働は、それに先行する段階より高度の生産諸力の発展を前提とする。この社会的生産諸力の高度な発展が、賃金労働者の高度な要求の前提なのである。
*最初の賃金労働者は雇い兵である。それは国民軍と市民兵の衰退に伴い出現した。