政府が原発再開の条件としてストレステストを義務付けるとして以来、マスコミがさらにやかましくなった。毎日新聞は、新たなハードルを建てたことが混乱を生んでいると批判している。余分なことをするなという論調だ。朝日、読売は辺りを見回して様子をうかがっている風で、いまだに見解を明らかにしていない。

しかし地方紙の論調はこの方針変更を全体として支持しているようだ。

神戸新聞は社説で以下のように述べている。

「立地自治体に求めたいのは、性急な再開の結論ではなく、安全を確かめた上で判断する慎重な姿勢である」と述べている。

なぜなら 原発を推進してきた経産省主導の検査で、公正さや透明性を保てるだろうかという疑念が残るからである。IAEAが日本を名指しで指摘したのが安全規制当局 の独立性だった。

国際原子力機関(IAEA)が先の閣僚級会合で打ち出した国際的な原発安全検査ス トレステストに匹敵する検査にしなくてはならない…

日本国内には54基の原発があり、うち35基が停止中だ。来春には残る全てが定期検査 に入る予定である。一方で、地震の活動期に入ったとの指摘もある。稼働から40年もたつ高経年化した原発などへの不安も根強い.…

検査基準を厳しくし、基準に満たない原発は廃炉も辞さない。それくらいの姿勢で臨まないとだめだ」

きわめてすっきりした結論だ。世界最高の安全基準を誇ってきたわが国原発としては何も恐れる必要はないだろう。

西日本新聞は玄海原発のいわば当事者の一人として、政府方針への戸惑いを率直に明らかにしている。

「安全と言いながら追加検 査をする。一人芝居だ。性格付けも目的も、どこかあやふやで思い付きにも見える」とケチョンケチョンだ。

しかし政府の対応の拙劣さは厳しく批判するが、安全検査の新たな提起そのものについては賛同している。感情におぼれず、肝腎なところはしっかり抑えている。

「事業 者と規制当局のいわば身内のチェックでは国民の理解が得にくい。きちんとした基準や態勢を整えて厳正な検査を実施すべきだ」というのが結論だ。

NHKの右往左往ぶりとはえらい違いだ。