昨日、帝国データバンクの調査報告を赤旗から転載したが、気になって直接ホームページを当たってみた。
この調査の良いところは、対象企業の数が膨大なだけでなく、相当の零細企業まで網羅しているところにある。そのため経済三団体のような大企業志向の意見ばかりでなく、現場の庶民感覚に近い。このような調査を「タダ」でやってくれるのはまことにありがたい。

まずは昨日引用した「特別企画 : 東北3県・沿岸部"被害甚大地域"5000社の現地確認調査」を見てみる。
リード部分で、
「倒産判明は少数にとどまるが、壊滅的な被害を受け実質的に営業不能状態の企業はその70倍も多く、今後さらなる増加が見込まれる」

調査対象
5000社の内訳であるが、市区町村別にみると、石巻市が989 社(19.8%)を占めた。以下、仙台市宮城野区(7.6%)、大船渡市(6.4%)、福島県浪江町(6.1%)が続いた。(人口2万の浪江町で307企業が登録されているなど、その対象は広範であることが分かる)
土建王国ともいわれる東北地域だけに、業種別には建設業が1742 社(34.8%)で最も多く、全体の3 割超を占めた。次いで、サービス業(16.1%)、小売業(15.4%)となり、製造業は比較的少ない。

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問題は「実態判明せず」が、どのような努力の結果、判明しなかったかということです。「実態判明せず」は「調査不能」ではない。調査不能の720企業はこの統計にふくまれていない。
「実態判明せず」の定義は「震災前の本社所在地に建物が存在しない、または代表及び会社関係者と連絡が取れず、取引先からも消息が聞けないケース」とされる。
すなわち「消え去った企業」の数である。現地調査の強みです。この調査に迫力があるのはそのためです。

調査の結果、2360 社で「事業継続」の意向を確認できた。しかし、このなかには「会社は全壊して何もなくなり先行きの見通しが立たないが、事業をなんとか続けたい」といった希望的な意向も多数含まれている。実際に事業継続が「可能」な企業数はさらに低い。
「未定・検討中」とした企業は226社。これは輪をかけてひどい。「自宅も店も流され、商売ができるわけがない。今後のことを考えられる状況ではない」など、今後の事業継続について全く見通しが立たずにいる。「廃業の予定」とした企業も62 社にのぼった。

要するに「生きている会社も死ぬ元気もないから生きている。カラ元気だけで生きている。死ぬのが面倒くさいから死なないでいる」状況にあり、4ヶ月もたったら、とてもカラ元気だけでは生き続けられなくなっていくでしょう。

かなり手遅れ状態になりつつあります。まずは酸素投与(生活支援)、点滴による栄養確保(金融支援)、そして思い切った輸血が必要です。
企業の35%が建設関係であることからも、かつて悪評高かった「公共事業」はきわめて有効な手段です。地域を限定し市町村を主要な発注主体とする建設・建築に資金投入することが重要と思われます(特区はだめ。積水ホームをもうけさせるだけで、金はそのまま東京に還流してしまう)

実質営業不能状態の企業が少なくとも2070 社という数字は、現状判明している東北3 県の関連倒産31 社のおよそ70 倍にのぼり、「倒産判明はあくまで氷山の一角」との従来からの指摘を裏付けるものだ。
今後、復旧・復興までの期間が長引くほど、これらの企業が先行き見通し難から事業継続を断念し、倒産手続きに移行する可能性は高く、関連倒産の件数が急増する可能性も十分にある。

改めて繰り返しますが、この調査、対象数といい調査方法といい、きわめて優れたものです。調査担当者に敬意を表したいと思います。