参考までにメルケル演説の要旨を紹介する。本日の赤旗に詳報が掲載されている。

  あの恐るべき3月11日から90日たった今日、われわれは次のことを知っている。原子力発電所の三つの原子炉ブロックでは炉心が溶融している。今でも放射 能を帯びた蒸気が大気に排出されている。広い範囲の避難地域はなお長期わたって残存するだろうし、事態収束のめどはなおたっていない。

 日本の劇的な事態が世界にとっての転機であることは疑いない。それはまた、私個人にとっても転機だった。日本のような高度な技術国ですら原子力の危険は確実には制御できないという事実を、われわれは福島の事態から認めざるをえない。

 その認識に立てば、必要な結論を引き出さねばならないし、新しい見方が必要になる。だからこそ私は“新しい見方をすることにした”と明言したのだ。

 私は「福島」以前には原子力の残存リスクを容認していた。高い安全基準をもつ高度技術国ではおよそこうした事故は起こらないと確信していたからだ。しかし、事故は現に起こった。

 問題は、ドイツで同じように恐ろしい地震がおこるかどうか、日本のような破局的な津波があるかどうかではない。「福島」後に重要なのはそんなことではない。

 確かに私は昨年秋、わが国の包括的なエネルギー基本計画でドイツの原発の稼働期間の延長を支持した。しかし私は本日、本議会において誤解の余地がないよう、こう断言する。「福島」は原子力に対する私の見解を変えた。